ついに日本上陸、中国企業「復星」の全貌

あの巨大コングロマリットが動き出した

中国経済の減速が顕著になると、復星は海外投資をさらに積極化。13年、米ニューヨークの一等地にある旧チェース・マンハッタン銀行の本店ビル「ワン・チェース・マンハッタン・プラザ」を7億2500万ドルでJPモルガンから買収。14年に入るとポルトガルの政府系貯蓄銀行の保険部門を10億ユーロで買収することが明らかになるなど、資産のポートフォリオは世界中に広がる。

復星の郭広昌董事長。中国財界の大物として知られる(写真:Getty Images)

投資姿勢にも特徴がある。短期的な売却益を重視する中国企業が多い中、復星は長期安定投資を是としている。

大学で哲学を専攻した郭董事長は、ビジネスパーソンというよりも思索家のような示唆に富んだ発言をしばしばすることもあり、中国では、同じく長期投資を手掛けるウォーレン・バフェット氏になぞらえられることも少なくない。ちなみに、郭董事長は、中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)にも委員として出席する現地財界の大物でもある。

ランドマークに照準

この復星は日本でどのような青写真を描いているのか。今回買収したイデラは、不動産アセットマネジメント事業を手掛けており、主に首都圏に中規模のオフィスビルなどを保有し、外部の投資家のおカネを運用している。だが関係者によれば、復星は自己資金をイデラに突っ込み、年内に大型の不動産物件を取得するつもりのようだ。

投資のターゲットもかなり絞り込まれているもよう。照準は、1000億円クラスの首都圏内のランドマークだ。そうした条件に合致し、今後、取引市場に放出されうる物件は、数えるほどしかない。たとえば、東京駅八重洲口南側にある地上32階建ての大型複合ビル、パシフィックセンチュリープレイス丸の内。現在はセキュアード・キャピタル・ジャパンが保有している。また、現在は米ローンスターが保有し、リーマンショック以後最大級の案件として多くの不動産関係者が注目する目黒雅叙園も、候補に入りうる。

復星傘下の不動産子会社、復星地産控股の呉筠マーケティングディレクターは「日本の不動産市場は過去半年で非常に強くリバウンドした。そもそも日本は、世界の不動産投資の1割が集まる有数の市場でもある」と話し、今後の投資機会に意欲を示している。また、今回の買収と合わせて、復星地産の徐曉亮総裁がイデラの社外取締役に就任している。

イデラを通した不動産投資以外に、復星は日本で消費財や高齢者向けサービスといった事業領域への投資も検討しているという。今後、こうした分野で日本企業の買収を新たに手掛ける可能性も大きい。静かに日本市場に足を踏み入れた復星。早晩、その動きが活発化しそうだ。

週刊東洋経済2014年6月21号〈6月16日発売〉掲載の「核心リポート01」を転載)

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