意外と知らない「アジア家電市場」の実態 わずか1年で売れ筋は激変

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アジアでは、2012年と2013年で市場環境が激変していることがわかる。特にスマートフォンが一気にフィーチャーフォンを抜き去った

アジア地域でテレビとパソコンの出荷台数の減速が顕著になっている。そのかわりに安定的な成長を記録しているのが、白モノ家電だ。調査会社GfKでアジア地域のディレクターを務めるジェラルド・タン氏は、「2013年はアジアにおける冷蔵庫とエアコンの販売台数の合計が、テレビとパソコンの合計を上回った」と、欧州最大の家電見本市IFA(今年は9月5~10日開催予定)のプレイベント「Global Press Conference(GPC)」で4月25日に講演した。

アジア市場では2013年のテレビ販売台数が前年比0.3%増の4683万台と横ばいにとどまり、パソコンは同12.4%減の5578万台と大幅に落ち込んだ。その一方で、冷蔵庫は同3.7%増の6229万台、エアコンは同14.2%増の6375万台と成長している。

スマートフォンとタブレットが大人気

GfKアジア地域ディレクターのタン氏

なぜテレビやパソコンの販売台数が落ち込んでいるのか。

背景にあるのは、急激ともいえるスマートフォンの台頭だ。2013年のスマートフォン販売台数は前年比66.8%増の5億3797万台と急激な成長を遂げた。タブレット端末も前年比74.3%増の4863万台と、やはり急成長している。この2つの人気商品の台頭によって、テレビとパソコンが需要を食われた格好だ。

一方でエアコンや冷蔵庫、洗濯機といった白モノ家電は安定的な出荷台数の伸びが続いている。中国や東南アジア諸国の生活水準の向上に伴い、今後は調理家電や掃除機といった製品の伸びも期待できそうだ。GfKリテールアンドテクノロジー・グローバルディレクターのウド・ジャンセン氏は「新興国は魅力的な市場で、文化の違いを理解できるかが成長のカギとなる」と指摘する。

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