「トランプ党」と化したアメリカ共和党の今後 「小さな政府・自由貿易」をポピュリズムが駆逐

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大統領選が今日、実施されればトランプ氏が再び共和党予備選を制することは確実視されている。ポリティコ誌・モーニングコンサル誌が11月末に実施した世論調査ではトランプ氏に投票すると答えた共和党支持者は53%、2番目のマイク・ペンス副大統領の12%、3番目のドナルド・トランプJr.(大統領の長男)の8%を引き離している。他はいずれも5%未満である。

トランプ氏は仮に2024年大統領選に出馬する意向がないとしても、出馬をほのめかすことで共和党そしてアメリカ政治に影響を及ぼすことができ、政治献金も積み上がる。トランプ氏が、自分の意に沿わない共和党候補者のいる選挙区の予備選にトランプ支持派の刺客を送り込んだりすることも大いにありうる。

共和党はカントリークラブの政党には戻れない

共和党が「トランプ党」と化してしまっている今日、トランプ氏に逆らっても勝ち目がない。共和党出身のマーク・サンフォード元下院議員、ジェフ・フレイク元上院議員、ジャスティン・アマッシュ下院議員などはトランプ氏を批判したことで再選を逃した。ホワイトハウスを去った後のトランプ氏の影響力は低下する。だが、同氏に替わるトランピズムの代表格が登場するまでは、支持基盤を握るトランプ氏に共和党は振り回されるであろう。

共和党全国委員会は2012年大統領選での敗北を受け、翌年、「成長と機会プロジェクト(検死報告とも呼ばれる敗因分析報告書)」を発行し、同党の改革すべきことを列挙した。だが、トランプ大統領が推進してきた政策は、移民政策をはじめ敗因分析報告書の中の提言から大きくかけ離れたものであった。大統領選での得票率は過去8回中7回、民主党が共和党を上回った。ここまで大統領選で一党が優勢であるのはアメリカ史上初めてのことだ。

とはいえ2020年、大統領選以外の連邦議会議員選、州知事選、州議会選では予想以上に共和党が善戦した。白人の占める割合が減少するなどアメリカの人口動態が変わる中、いずれ共和党は戦略をまた見直さなければならない時代が来るであろう。しかし、トランプ氏の影響もありポピュリストの政党となった共和党が、再びカントリークラブの政党に戻る日はもう訪れないかもしれない。

渡辺 亮司 米州住友商事会社ワシントン事務所 調査部長

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わたなべ りょうじ / Ryoji Watanabe

慶応義塾大学(総合政策学部)卒業。ハーバード大学ケネディ行政大学院(行政学修士)修了。同大学院卒業時にLucius N. Littauerフェロー賞受賞。松下電器産業(現パナソニック)CIS中近東アフリカ本部、日本貿易振興機構(JETRO)海外調査部、政治リスク調査会社ユーラシア・グループを経て、2013年より米州住友商事会社。2020年より同社ワシントン事務所調査部長。研究・専門分野はアメリカおよび中南米諸国の政治経済情勢、通商政策など。産業動向も調査。著書に『米国通商政策リスクと対米投資・貿易』(共著、文眞堂)。

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