インターネット上でさまざまなサービスを提供する「プラットフォーム企業」に対し、中国政府が監督強化の動きを強めている。そんななか、多数のプラットフォーム企業が「ネット預金商品」の取り扱いを相次いで中止したことがわかった。
財新記者の調べによれば、電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴(アリババ)傘下の支付宝(アリペイ)が率先して取り扱いをやめた後、ネットサービス大手の騰訊(テンセント)、EC2位の京東(JDドットコム)、旅行大手の携程(シートリップ)、ライドシェア大手の滴滴(ディディ)、生活サービス大手の美団点評などが続々と追随した。
ネット預金とは、銀行がプラットフォーム企業のアプリやウェブサイトを通じて販売する預金商品のことだ。仕組み上は、商品を設計して提供するのはあくまで銀行であり、プラットフォーム企業は金利や満期などの情報表示や購入申し込みのインターフェース機能だけを担当している。
地方の中小銀行にとって、ネット預金は新規参入のハードルが低く、預金獲得の間口を広げて流動性不足を緩和するための新たな手段になった。一方、プラットフォーム企業はネット預金の仲介を通じて銀行から得られる手数料収入を目的に、取り扱いを積極的に広げていた。
「無免許運転に等しい違法な金融活動」
だが、ネット預金の獲得競争が過熱するとともに、多数の中小銀行が金利支払い時期の短期化、上乗せ金利バウチャーの提供、キャッシュバックなどの(グレーな)手段を活用。それを通じて中国人民銀行(中央銀行)の基準金利を大きく超える商品を販売するようになった。
例えば、ある銀行のネット預金商品は満期5年で表面金利は年率4.42%だが、預金者には180日ごとに利息が支払われる。これは中央銀行の半年ものの基準金利である1.3%の3.4倍という高さだ。
ネット預金の販売中止の“前触れ”は、中国人民銀行金融安定局の孫天琦局長が11月13日に発表したメディアへの寄稿だった。そのなかで孫局長は、(リスク管理体制が脆弱な)一部の地方銀行がネット預金を通じて全国から預金を集めていることに懸念を示し、金融管理当局のリスク管理と監督が追いついていない実態を変えなければならないと強調した。
さらに12月15日、孫局長は北京で開催されたフィンテック関連のフォーラムで、ネット預金を取り扱うプラットフォーム企業は実質的に銀行のオンライン支店として機能していると指摘。そのうえで次のように強く批判した。
「プラットフォーム企業は金融業のライセンスを持たずに(金融管理当局の)監督を逃れている。これはクルマの『無免許運転』に等しく、違法な金融活動にほかならない」
(財新記者:胡越、王子凱)
※原文の配信は2020年12月21日
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