鉄道は再び交通の主役に返り咲くか 【特集・鉄道新世紀】
1列車当たりの平均遅延時間が0・6分という驚異的なダイヤの正確さは、こうした指令員たちの努力に支えられている。「新幹線」とは車両だけでなく、運行管理態勢や保守なども含めた総合力なのである。
ブームではわからない日本の鉄道の真実
ここ数年、鉄道ブームが続いている。だが鉄道業界全体を見渡すと、決して安閑としてはいられない。
とりわけ厳しい状況に追い込まれているのが地方の鉄道である。
今回、『週刊東洋経済』2010年4月3日特大号(2010年3月29日発売)ではJRの全179路線について民営化前と現在で、利用者数(平均通過数量)がどの程度増減したかを調べたところ、実に101路線で利用者数を減らしていた。その大半が地方路線であることは言うまでもない。
過疎化、少子化といった人口動態の変化に加え、道路の整備が進み自家用車やバスが便利になったことも鉄道離れに拍車をかけた。民営化後に利用者が5分の1に減った岩泉線(JR東日本)は1日4本しか走らない。この不便さがさらに鉄道から自動車へのシフトを促すという悪循環に陥っている。
第三セクターも事情は同じだ。とりわけ2000年の鉄道事業法改正により、鉄道事業の廃止が許可制から1年前の届け出制に変更されたため、それまで赤字に耐えてきた事業者が次々と撤退に転じている。