鉄道は再び交通の主役に返り咲くか 【特集・鉄道新世紀】
この動きに民主党政権の公約である高速道路の無料化政策が追い討ちをかける。
運輸調査局「高速道路料金引き下げに関する研究会」では「地方都市間の流動において、より大きな転換が生じる」と推計している。10年度から高速道路無料化の社会実験が実施される「交通量が少ない地方を中心に選んだ」という37路線は、地方の鉄道ともろにバッティングする。
よく見ると第三セクターや中小私鉄路線との競合はうまく避けているものの、収益基盤の弱いJR北海道、四国、九州の3島会社には痛手だ。下手をすると「社会実験」が地方鉄道の息の根を止める結果にもなりかねない。
もう一つ、最近の鉄道をめぐる問題で欠かせないテーマがある。それは米国、ブラジル、インドなどへの高速鉄道の売り込みである。
世界の鉄道需要は年間およそ3兆円。これは国内市場の10倍の規模だ。“世界一”の日本の技術力をもってすれば食い込む余地は大きいとばかりに、JR東海のような鉄道事業者、車両メーカーなど各社が売り込みに躍起になっている。
前原誠司国土交通相は新幹線の売り込みに向け、4月下旬に訪米する。米国での高速鉄道受注に向けては国際協力銀行が融資や債務保証をするという。ベトナムの高速鉄道建設には円借款が使われる見通しだ。