お金持ちになった人が実践「しないこと」リスト 30代で資産10億円を築いた個人投資家のやり方

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もう1つが、意思決定の回数が増えれば増えるほど、意思決定能力が下がるという現象です。私たちは普段の生活の中でも約2万回の判断を行っているといわれています。膨大な情報が飛びかう現代ではなおさら、さまざまな情報に対して、意識的、無意識的にかかわらず多くの判断をしています。判断の数が増えれば増えるほど、脳は決定疲れを起こし、良質な判断ができなくなっていきます。

ですので、まずはそれらの情報や選択肢を最小限に削って、あなたが行う判断の回数を減らすようにしていきます。それが、「やらないことを決める」ということです。

やらないことを決めると、新しい情報が入ってきても、「やるか」「やらないか」の判断をする必要はなくなります。

頭ではすべてをやることが不可能だと知っているのに、やらないことを明確にできないのは「もしかしたら、いつかすべてをやれるかも」という願望によるものです。ですが、それは、果たされることのない願いです。まずはこの希望を打ち砕くところから始めていきます。

「すべてをやろう」という脳の癖

私はかつて飲食業の事業を経営していました。安心安全な食材を使って安価な料理をお客様に提供するというシンプルな思いから始まりました。最初は小さな飲食店からスタートし、やがて事業は軌道に乗り始め、効率化を図るためにすべての業務を電子化することにしました。その後SNSを本格的にやることも決め、特別メニューを毎月開発し、デリバリーも始め、フランチャイズ化も同時に始め、店舗も増やして、本格的な従業員の教育制度を開始し、最終的には食材の自宅配送までやることにしました。

その結果、どうなったと思いますか。

私は1億円以上の損失を抱え、事業は失敗に終わりました。

私自身がすべてをやろうとして忙殺されていた以上に、従業員に対してもすべてこなすようにと要求していたのです。結果、この事業は失敗し、大きな悔いが残ることになりました。

アメリカの起業家、投資家であり、PayPalの創業者のピーター・ティールは、部下に1つのことだけに徹底的に集中するよう要求したそうです。私はこのことを知っていたにもかかわらず、「すべてをやろう」という脳の癖の餌食になっていたのです。

この脳の癖の餌食にならないためには、やらないことをまず先に決めることが必要です。とても真面目なあなたも、幼い頃には親からすべてやるまで遊べないと言われ、学生時代は課題をすべて提出するように言われ、社会人になったら上司や同僚に頼まれた仕事や付き合いを断れず、すべて引き受けてしまっているかもしれません。

すべてをやるという癖は何十年もの時間をかけて、私たちに染みついてしまっています。だからこそ実践を通して、少しずつ効果を感じながら変化させていく必要があります。

そこで、私自身も取り入れた簡単な実践方法をご紹介しましょう。

次ページ簡単な実践「4つのステップ」
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