「高額おせち」がコロナ禍で売れまくった事情 手作り派が減り、市場規模は20年間で倍増

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コロナ禍で需要が急拡大した今回は例外的ではあるが、お正月におせちを食べる習慣がない人は多い。一方で、意外なことに重箱に詰められた市販の「おせち」は市場規模が毎年成長している。

公式な統計はないものの、業界関係者の話を総合すると、おせちの2020年の市場規模は600億~630億円程度で、約400万セットが販売されたとみられる。約300億円だった2000年頃からの20年間で市場規模は倍増している。

市場拡大の背景には、おせちを家庭で作らなくなったことがある。従来は年末に食材を買い出して手作りする家庭が多かったが、共働き世帯の増加などの理由で減少傾向に。市販品を購入すれば、多忙な年末の時間を有効に活用できるとあって、一度購入すればリピーターになる人も多い。

「かまぼこや伊達巻きなどのおせち具材は苦戦が続いている一方で、重箱の詰め合わせに顧客がシフトしている」(イトーヨーカ堂の小畑氏)

台頭するECの存在

加えて、その流れを加速させているのがECの存在だ。重詰めおせちは約40年前からGMSなどで販売されていたが、豊富な種類を取りそろえ、手軽に購入できるECが近年普及した結果、市場が急拡大。ここ数年は年5%弱程度のペースで市場の成長が続いているとみられる。

総務省によると、2020年1月時点での国内の世帯数は5907万世帯。市販のおせちを購入する流れは今後も強まるとみられ、現在の市場規模から考えても、さらに販売数量を伸ばす余地は大きいとおせち関連の業者らは意気込む。

とはいえ、おせちを購入する層の増加で当面の成長は見込めるものの、おせちを食べる人そのものは減少傾向にあるのが現実でもある。昔ながらのおせちには関心のない顧客も呼び込める商品や、幅広い価格帯での提供による顧客層の開拓、配送体制の拡充など、潜在的な需要を取り込むための体制強化が求められている。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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