「高額おせち」がコロナ禍で売れまくった事情 手作り派が減り、市場規模は20年間で倍増

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例年であれば年末年始を海外で過ごしていた中高所得者層が、自宅に巣ごもりする分、豪華なお正月を過ごそうという動きも強まった。高級料亭「東京吉兆」のおせちは、伊勢丹での販売数が例年の1.5倍に伸長。全体的には新規顧客が多く単価が安い傾向にあるECからの注文が増えた一方で、店頭や電話での注文では5万~10万円といった高額品の売れ行きが好調だった。

6月からおせち生産を開始

需要の拡大を受けて、おせち製造にかかわる企業も恩恵を受けている。冷凍おせちの製造を受託するアサヒウェルネスフーズ(大阪府貝塚市)はその1社だ。同社は卸売業者を通して具材を調達しておせちを生産し、通販会社や百貨店、スーパーマーケットなどへ卸す業者に販売している。

アサヒウェルネスフーズでは2020年半ばからおせちの生産を開始した(記者撮影)

同社ではおせちの需要が伸びることを2020年前半の段階から想定し、生産量の増加に対応するために例年より1カ月早い2020年6月からおせち生産を開始。おせちの見込み量のうち7~8割を11月までに製造し、12月の実際の受注状況を受けて残り分を調整する方法で生産するが、今回は12月の注文が見込み量を大幅に超過した。その結果、受注したおせちの段数は、前年比2割増の78万段にまで増加したという。

このように特需に沸いたおせち業界だが、供給能力の制約などの理由から、すべての需要増を取り込むことができたわけではない。

消費者からの受注を10月に開始する前の段階で、食材や重箱などの製造数量が決まる。しかも、業界各社が同じ時期にほぼ同じ材料を必要とするため、注文が急増しても、すべてに対応するのは困難なのだ。冷蔵品の場合、高級料亭や工場などで12月28日から30日の間に一気に作り上げるため、生産量に限界がある。

コロナ禍で増えた商品配送にも対応しきれなかった。伊勢丹では例年で8割程度が個人宅に配送されているが、2021年用は割合がさらに増加。イトーヨーカドーでも配送の割合が例年より10ポイント以上増加し、50%超にまで伸びた。三越伊勢丹の中本氏は「12月31日に届けるおせちの配送能力は限界に近く、一部で受注の抑制も行った」と話す。

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