46歳「昆虫食」を究める彼女の真っすぐな生き方

「世界を救う」なんて意識の高いことじゃない

例えば、カブトムシは腐葉土で育てると腐葉土の臭いがきつくて食べづらいが、違う土で育てたら食べやすい、サクラケムシは桜につくか梅につくかで香りが変わる、などの食べ方がわかっていった。

また、サルモネラ菌が発生する可能性があるので、生では食べてはいけない、など安全のためのセオリーも学んだ。

「30代後半になって、そろそろフリーライターとして単著を出したいなと思い始めました。珍しい物を食べるバーベキュー会というのが開催されて、そこにいた編集さんに『昆虫食の本出しませんか?』って提案したら、トントン拍子で話が進みました」

2013年に出版された『びっくり! たのしい! おいしい! 昆虫食のせかい むしくいノート』(カンゼン)

2013年『びっくり! たのしい! おいしい! 昆虫食のせかい むしくいノート』(カンゼン)が発売された。

オールカラーの単行本で、さまざまな昆虫食が紹介されている。

さまざまな昆虫の食べ方やレシピ、映画や漫画で登場する昆虫食シーンの紹介、実際に昆虫食が食べられるレストランの紹介、と昆虫食本の決定版とも言える本だった。

出版をきっかけにメディア出演の機会も

本を出版した後は、さまざまなメディアから声がかかるようになった。

とくに『アウト×デラックス』(フジテレビ)などの人気テレビ番組の影響は大きく、ネットでは大きな反応があった。

「取り上げていただいたのは大変ありがたいことなんですが、メディアでの反応のわりに本の売り上げに一向に影響がありませんでした。どうしても『女が虫を食べている』という見世物小屋的な取り扱われ方なんですよね。虫を食べる芸人みたいになってしまったな、という印象です。別にそれが嫌ではないんですが、自分の書いた作品が評価されてる、という気はまったくしなかったですね」

2015年に第1子を出産したこともあり、仕事は控えめになった。

ざざむし漁に勤しむギリコさん(写真:ギリコさん提供)

また別ペンネームで、全然違うテーマの原稿を書くことも増え、昆虫食の原稿の数は減った。

「のらりくらりとやっていたんですが、ただテレビ出演もライティングの仕事も尽きることはなく、昆虫食は大ブームになったりはしないけど、つねに需要はあるんだなと感じました」

ギリコさんが昆虫食を取り上げて以降、世の中的にはずいぶん昆虫食の扱いは変わった。

「2003年頃に内山さんがセミを食べる“セミ会”を開催してたんですが、今は全国各地に派生してます。大学のキャンパス内にグループができていたりします。

また2020年11月には東京駅構内で『虫グルメフェス』が開催されて話題にもなりました」

次ページ「地球を救う」という高い意識はない
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
  • 子どもを本当に幸せにする「親の力」
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
消える仕事、残る仕事<br>1億人の「職業地図」

コロナ、AI、脱炭素――。私たちの雇用を取り巻く環境が激変しています。今後、どんな職業を選ぶかは死活問題に。2030年に向け「消える仕事」「残る仕事」36業種、「会社員の価値」がわかる9職種を掲載。本特集が職業を改めて考える機会になれば幸いです。

東洋経済education×ICT