46歳「昆虫食」を究める彼女の真っすぐな生き方

「世界を救う」なんて意識の高いことじゃない

最初は貸本漫画の記事を書いていたが、11号からは、かねて念願だったコーナーをはじめることにした。

その頃ちょうど、文芸作品やアニメ作品の中で食べられている料理を、実際に作って食べてみる試みが流行っていた。

例えば、村上春樹さんの小説に登場する食事を再現した“村上飯”や、ジブリアニメの中に登場する食事を再現する“ジブリ飯”などは人気が高い。『天空の城ラピュタ』の洞窟内におけるシーンで、パズーとシータが食べていた目玉焼きののったトーストなど、SNSなどで一度は見たことがあるのではないだろうか?

「私は、ホラー作品やサバイバル作品に登場する“虫飯”が食べたい!! って思ったんです。そしてそれを記事にすることにしました。トラッシュアップ11号で怪奇漫画に登場する昆虫食を紹介するコーナーをはじめました」

形そのままに……蟻スープ(写真:ギリコさん提供)

ポン・ジュノの映画『スノーピアサー』ではゴキブリ羊羹、手塚治虫の『火の鳥太陽編』ではゴキブリの油漬け、など昆虫食が登場する作品は意外とある。

「もちろん漫画で出てくる昆虫食って、読者に嫌悪感をもよおすために描かれることが多いんです。でも私は例えば『サバイバル』(さいとう・たかを)で主人公が毛虫を食べてるシーンを見て、普通に食べてみたいなと思ったんですよね。サクラケムシは今では大好物です」

「食材の1つと考えるのがいい」

昆虫食の記事を書くなら、識者の話を伺いたいと思った。ネットを調べると、昆虫料理研究家の内山昭一さんを見つけることができた。連絡をとってみると、たまたまギリコさんの自宅と、内山さんの会社が近所であることがわかり直接会うことになった。

昆虫料理研究家の内山昭一さんと(写真:ギリコさん提供)

「内山さんの会社に伺って、当時出版の用意をされていた『楽しい昆虫料理』(ビジネス社)のゲラを見せてもらったりしました」

その後内山さんが開催している、昆虫食を作って食べる会の手伝いをすることになった。

2010年からは『東京虫食いフェスティバル』というイベントを開催することになった。昆虫食についてのトークショーと、料理コンテンテストの、バラエティーに富んだ内容だ。

筆者もイベントに参加したことがあるが、若い女性の参加者が多く、皆楽しそうにさまざまな昆虫食を食べていた。

「好奇心から昆虫を食べはじめたんですけど、結果的に“普通の食材”だと感じるようになりました。牛、豚、鳥、魚介類とかと同じ、食材の1つと考えるのがいいと思いました」

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