46歳「昆虫食」を究める彼女の真っすぐな生き方 「世界を救う」なんて意識の高いことじゃない

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昆虫を食べる人の絶対数は、確実に増えている。2013年にはFAO(国際連合食糧農業機関)が昆虫食を勧める発表をしたのも大きかった。『昆虫食は世界を救う』という、かなり意識が高いスタンスで昆虫食をはじめている人もいる。

「盛り上がりましたけど、ただ私はあまり興味がないんですよね。昆虫食が地球を救ってもいいけど、別に救わなくてもいい。実際、ほかの食材と比べて、ものすごい栄養価があったりするわけでもないんですよね。環境に対しても実際のところはまだわからない。軽はずみに『地球を救う』なんて言っちゃっていいのかな?という気持ちもあります。そしてそういう高い意識だけで昆虫食をしても、なかなか長続きしないと思うんです」

また“意識が高い”昆虫食の調理法だと、昆虫の形を隠す場合が多い。ペーストにしてソースに使用したり、粉末にして混ぜ込んでしまったりする。

「オシャレでスタイリッシュなのって、私にはつまらないんです。昆虫は形がわかる調理方法で食べたい。実際、食べる抵抗感を低くする必要ってないと思うんです」

そのままの形で調理されているカイコの薬膳サラダ(左)とスズメガタコス(写真:ギリコさん提供)

そんな思いもあり、2020年9月に『スーパーフード! 昆虫食最強ナビ』(辰巳出版)という2冊目の単行本を発売した。

昔から食べられてきた食材

「前回の本よりも、さらに掘り下げて昆虫食について書きました。虫は特別な食材ではなく、昔から食べられてきた食材なんだということをお伝えしたく、あえて意識して虫の機能性や環境へのいい影響についてはあまり触れないようにしています。ある意味『世界を救わない昆虫の食べ方』が裏テーマですね。意識低く、昆虫を食べる本と言ってもいいかもしれません。

ただ“美味しく食べる”というのは大事にしています。美味しくないと続かないですからね」

「昆虫をそのままの姿で食べたい」(筆者撮影)

とギリコさんは笑顔で語った。

ギリコさんがテレビに出演した後は、ネット上でバッシングを受けることもあったという。

「昆虫食を取り上げるにしても、それとわからなくできるだろう」

と言われるそうだ。

ただギリコさんは

「昆虫をそのままの姿で食べたいと思い、そして食べている」

わけで、それはとても純真だと思った。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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