GoToキャンセル補償「旅行会社独り占め」の手口 宿泊施設へ補償が行き渡らない懸念があった

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日本旅館協会の永山久徳副会長は、旅行代理店と宿泊施設との対立姿勢が浮かび上がってきた現状において、「こういう時こそ、双方が力を合わせて、危機を脱することが一番」と妥当な形で決着することに期待感をにじませている。

そんな中、赤羽一嘉国土交通大臣は12月25日の記者会見でGoToのキャンセル料問題に触れ、旅行会社から関係業者への配分について「特定の者が過大に取り分を取ることなく、当該キャンセルに係る観光関連事業者の間で公平に配分されることが望ましいと考えている」と述べた。

そのうえで、配分について「事務局から旅行会社に支払われる旅行代金全体の50%相当分、1人泊当たり上限2万円については、旅行会社から、当該旅行商品に含まれるサービスを提供する宿泊事業者、交通事業者、観光施設等に対し、その旅行が実施されていればそれぞれの者に支払われるべきであった額の割合に応じて配分する」との考え方を示した。

「被害が出ているところに支援を」

現状、一番困っているのは当の宿泊施設だ。顧客からの無料キャンセル手続きは本来なら24日が期限だったため、多くの利用者が旅行会社に対しての申し出は終えているだろう。だが、筆者が25日午前にいくつかの宿泊施設に尋ねたところ、この時点で補償は誰も受け取っていなかった。

さらに、「その補償受け取りをどうやって申請していいかもわからない」(中国地方の旅館主)との訴えもあった。

赤羽国交相は前述の会見で、事業者が事務局から支払いを受けるための必要書類や申請手続き、申請時期についても「整い次第速やかに」事業者に知らせるとしており、早急な対応が待たれる。

ある旅館主は、「50%の補償は宿泊施設や観光バス会社など、直接的に被害を大きく受けているサプライヤーへの支援のためのもの。旅行会社は本来は取次業者なのだから、災害支援物資のように被害が出ているところにしっかり届ける方法を考えてほしい」と訴える。

コロナ感染拡大を防ぐと同時に、苦境に陥っている観光関係者の救済も喫緊の課題だ。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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