アメリカ財務省の本音は「まだドルは高すぎる」

「為替政策報告書」が各通貨に発した警告を読む

次期財務長官にはジャネット・イエレン前FRB議長が就任(写真:REUTERS/Jonathan Ernst)

12月16日、FOMC(連邦公開市場委員会)と同じタイミングでアメリカ財務省は半期に一度の為替政策報告書を公表している。本来、毎年4月・10月のタイミングで公表されることになっていた同報告書は、トランプ政権になってから為替操作国認定を念頭に置いた政治ツールとして恣意的に運用されるようになり、不規則な公表が常態化している。前回の公表は2020年1月13日であり、実に11か月ぶりの報告書となる。

ムニューシン財務長官の最後の為替政策報告書が公表された(写真:ロイター)

ちなみに前回公表のタイミングは、米中貿易交渉で第一段階合意がなされる直前だった。あたかも合意に漕ぎ着けた「ご褒美」のごとく、中国に対する為替操作国認定が解除されるという動きがいかにも政治的だった。

今回の報告書がこのタイミングになった理由は定かではないが、年2回のルーチンを守るとすれば、クリスマス休暇も考えたうえでこのタイミングしかなかったともいえる。また、年が明ければ大統領が正式に代わる。トランプ政権として出せる最後の為替政策報告書という思惑もあったかもしれない。

操作国とされてしまったスイスとベトナム

今回は為替操作国としてスイスとベトナムの2カ国が認定され、監視リスト対象国として中国、日本、韓国、ドイツ、イタリア、シンガポール、マレーシア、台湾、タイ、インドの10カ国が認定されている。スイスに関しては12月10日のブルームバーグが「スイス当局によるフラン高抑制のための為替介入は、アメリカが指定する為替操作国の基準を満たす」と匿名関係者のコメントを報じていたので、この観測報道が事実だったことになる。

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