鉄道にもようやく浸透「ポイント還元」新時代 JR東・西が来春オフピークに導入、すでに実例も

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JR九州のICカード「SUGOCA」(スゴカ)は、ポイントサービスの導入自体はJR東日本やJR西日本より大幅に早く、2010年に導入した。1回の乗車につき1%、自由席特急券のスゴカでの購入には5%のポイントがつくほか、筑肥線と福岡市営地下鉄双方の乗車では一律10ポイントが還元される。

また、関西の私鉄や公営鉄道を中心とした交通系ICカードのPiTaPa(ピタパ)は、事業者によって内容は異なるものの、利用回数や利用額に応じた割引などを受けることができる。しかしピタパは、ポストペイ(後払い)ゆえ入会手続きや審査が必要というネックがあり、関西圏での交通系ICカードの覇権は手軽なプリペイドのイコカが握ることになった。

これらのポイントサービスは、あくまで利用金額や回数に応じたポイント還元を重視してきたが、ポイントの付与によってオフピーク利用を促す試みが広がろうとしている背景には、このようなサービスがすでに全国に広がっているという土壌があるだろう。

「時間帯別」は当面ポイントで?

鉄道事業者が目指しているのは、最終的には「時間帯別運賃」の導入である。運賃の改定は国土交通省の認可が必要であり、実現には時間がかかる可能性が高いが、ポイントによる還元の場合、運賃制度には手をつける必要がなく、事業者の判断だけで実施できる。

首都圏のJR運賃表。時間帯別運賃の導入には課題も多い(編集部撮影)

また、各社のポイントサービスと連動することで、鉄道だけでなく自社グループの商業施設利用などに結び付けることもできる。

利用者側から見てもメリットはある。時間帯別運賃が導入された場合、実費精算の勤務先なら時間帯によって申請額を変えなければならない可能性もあるが、ポイントならその手間はなく、ポイント分の交通費を減額されることもないだろう。

時間帯別運賃は、オフピーク時の値下げとともにピーク時の値上げが検討されていることもあり、利用者から反発を招く可能性もある。利用回数に応じたポイントサービスが普及する中、当面は導入しやすく納得も得られやすい、時間帯によるポイント還元サービスが混雑の激しいエリアで広がっていくのではないだろうか。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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