「ICOCAポイント」導入に隠されたJR西の狙い

格安の「昼特きっぷ」販売終了したかった?

JR西日本の新快速。これまで京阪神地区で人気の高かった「昼特きっぷ」は9月末で販売終了し、10月から「ICOCAポイント」が始まる(写真:のりえもん / PIXTA)

JR西日本は、10月1日から、交通系ICカードICOCAの利用に応じてポイントが貯まる「ICOCAポイント」サービスを始める。同じ区間を複数回利用するユーザーに向けた画期的なサービスとなる。

最大の目玉は「時間帯指定ポイント」だ。いくつかの条件をクリアすると、運賃の50%がポイントとして加算される。大阪―京都間だと運賃560円に280円相当のポイントが付き、それで列車に乗ったり買い物をしたりできる。鉄道運賃では破格の還元率だ。

その一方で、JRユーザーに人気の「昼間特割きっぷ」(昼特きっぷ)が9月30日限りで販売中止となる。JR西日本はどのような意図で、新サービスを展開するのか。関西の鉄道ビジネスを大きく変動させる新制度を取り巻く状況を紹介してみよう。

狙いはICカードの利用率アップ

JR西日本は今回、なぜポイント制を導入するのだろうか。ICOCA開発の担当者によると、交通系ICカード利用率の向上が狙いだという。導入から15年経ったが、京阪神地区におけるICカードの利用率は7割強。JR東日本管内の9割に比べるとまだまだ低い。

JR西日本のICOCA。切符対応の自動改札機は製造費とメンテナンス費の負担が大きいので、ICカード専用機で省力化を図りたいとの事情もある(筆者撮影)

JR西日本で普及が伸び悩む最大の理由は昼特きっぷの存在だ。JR西日本独自の回数券タイプの企画乗車券(6枚つづり)で、大阪―京都間、大阪―宝塚間、大阪―三ノ宮・元町間など、ライバルとなる阪急や阪神、京阪と競合する区間に設定されている。

利用は平日の昼間(10~17時)および土日祝(終日)に限定されるが、1枚あたりの運賃値引き額はかなり大きい。たとえば、大阪―京都間のJR運賃560円に対し、昼特きっぷだと1枚あたり350円(割引率38%)。並行する京阪と阪急京都線の運賃400円と比べても安い。大阪―三ノ宮だと、JR運賃410円、昼特きっぷ270円(同35%)。阪神と阪急神戸線の運賃320円にも対抗できる。

これだけ価格差があるがゆえに、京阪神間を移動するJRユーザーは、利便性のよいICOCAではなく、割安な昼特きっぷを選択する。

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