「ICOCAポイント」導入に隠されたJR西の狙い 格安の「昼特きっぷ」販売終了したかった?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ポイントが付くケースは、大きく分けて以下の3点になる。

■1:「利用回数ポイント」
普通回数券の使命を代替する形となる。1カ月間で、同一運賃区間の利用回数が11回以上の場合、11回目以降の利用1回ごとに、その区間の運賃の10%のポイントが貯まる。

回数券の割引率(9%)より還元率は高いが、利用10回目までポイントが貯まらないので、同一区間を単純に往復するだけなら回数券より不利だ。

面白いのは、その運用だ。たとえば、月内に大阪―京橋間(運賃160円)を8回、大阪―西九条間(同160円)を8回利用したら「160円区間を16回利用した」とカウントされ、11回目以降の6回分がポイントの対象となる。JRの短距離区間をこまめに利用している人なら、ポイントが貯まるチャンスは多そうだ。

■2:「時間帯指定ポイント」
特定の適用区間における特定条件で利用回数が1カ月に4回以上の場合、4回目以降の利用1回ごとに、その区間の運賃の30%または50%のポイントが貯まる。

昼特きっぷで目指した方向性を継承する制度となる。適用区間は大阪―京都、大阪―三ノ宮など34区間が指定されている。ポイントの対象となるのは「平日10~17時の入出場」「土休日・年末年始の終日」の利用に限られる。平日の朝夕などは対象外だ。

■3:「電子マネーポイント」
ICOCAの使える一部加盟店で、ICOCA電子マネーの利用に応じてポイントが貯まる(加盟店は今後発表予定とのこと)。

1カ月間で貯まったポイントは、翌月6日以降に、自動券売機、のりこし精算機で「ポイントチャージ」の操作をすると、「1ポイント=1円」で換算される。ICOCAに現金をチャージした時と同じように、JR西日本線や鉄道各線、あるいは電子マネーとしてコンビニなどで利用できる。ポイントには有効期限が定められていない。

実際どのくらい割引になる?

ちなみに、どのような利用方法でどの程度ポイントが付くのか。東海道本線大阪―京都間(運賃560円)を平日昼間に月8回(週に1往復)乗車した場合で考えてみた。

まず、券売機で560円の切符を買って8回利用したら、総支払運賃は4480円となる。回数券を利用すると3664円(1枚あたり458円。この区間の回数券は特例で格安)、昼特きっぷだと2800円(同350円)だ。

これに対し、ICOCAポイントだと、4回目以降に利用した分が「時間帯指定ポイント」の対象となる。「運賃560円×ポイント5回分×50%」だから計1400ポイント分。それを値引きと考えれば、4480-1400で3080円相当になる。昼特きっぷほどの値引き感はないが、回数券よりは割引率が高い。

なお、平日夜間に月8回利用した場合だと「時間帯指定ポイント」の適用外で、また「利用回数ポイント」の対象にもならない。そういう場合は、回数券利用がお得だ。

次ページ昼特きっぷや回数券より複雑なポイント制度
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事