ヘアカラーで個性を表現するのは若年層だけにとどまらず、20代後半以上の大人世代もアッシュカラー、マットカラーなどの青や緑のニュアンスが混じった寒色ヘアカラーを楽しんでいる。
前出のビューティーエクスペリエンスでは今年8月、30代からの白髪が出始めた大人世代に向けて「スロウ マージ(THROW MERGE)」を発売した。
「スロウ マージ」は現役美容師と共同で開発しており、その中で、「白髪が生えてもヘアカラーを楽しみたい」「白髪という素材を活かすナチュラルスタイル」を望むお客もいるという美容師の声を取り入れたという。
この製品で提案するのは“ぼかす塗り方”だ。「これまではしっかりと塗ることで白髪を隠す発想だったが、そうすると伸びてきたときに白髪の存在がよりわかりやすくなってしまう。このカラー剤は全体に透明感を与え、黒髪と白髪のコントラストをなくすことで、全体と白髪の境目を目立ちにくくする」(同社マーケティング部の森田秀和・ブランドマネジメントマネジャー)
ちなみに同ブランドでは、白髪染め=暗くて重たい印象、という印象を払拭すべく、日本人特有の赤みを抑えて髪の毛を柔らかく見せる、“外国人風白髪染め”というコンセプトを打ち出している。
森田秀和・ブランドマネジメントマネジャーは「このカラー剤から“外国人風白髪染め”という新しいトレンドも起こせたらと考えている」と語る。
「素材」そのものを活かす提案もある
市販カラー剤でも、素材を活かす提案がある。ホーユーが販売する「メンズビゲン グレーヘア」は、クリームを塗布することで白髪を淡いグレーや少し濃いグレーに染めることができる商品だ。
白髪を黒く染めずに灰色の髪を活かす「グレイヘア」は、2018年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされるなど注目を浴びた。ホットペッパービューティーアカデミーが20~69歳の男女を対象に実施した「白髪・グレイヘアに関する意識調査2020」では、「グレイヘアもすてきだと思う」と回答した人は男性で約4割、女性では5割。「いつかはグレイヘアにしてみたい」という割合も男女ともに約4割と高い関心を示した。
また、通常の白髪染めも「自然体」が意識されており、商品企画室の伊藤聡氏は「これまで白髪染めは昔のカラー剤の印象が強く、『不自然な色になるのでは』と懸念する方も多かった。自然な髪色は幅広いトレンドとなっていることもあり、昨年『メンズビゲン ワンプッシュ』から、よりナチュラルなカラー『6S ナチュラルシャドウ』を発売した」と話す。
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