Jリーガー「白血病」診断前に食べた焼き肉の味

家族巻きこむ申し訳なさと「どうしようもなさ」

5月10日。生検で首の部分を切開し、リンパ節を検査した。そして5月13日、医師からこう告げられた。

「早川さん、骨髄検査やリンパ節生検の結果、ほぼ急性の白血病と診断されましたので、化学療法や同種造血幹細胞移植といった治療体制が整っている病院での再検査と治療に入ります。新潟県ですと、新潟県立がんセンター新潟病院か新潟大学病院(新潟大学医歯学総合病院)、日本赤十字社 長岡赤十字病院となります」

白黒がはっきりついた瞬間だった。僕の白血病は慢性ではなく、急性白血病。より大きな病院で長期の集中治療が必要と判断されたのだった。

もう受け入れるしかなかった。両親と3人で若干放心状態になりながらも、どこで治療をするのか話し合った。家の近くということもあって、新潟大学病院を選んだ。

1年近く過ごすこととなる、新潟大学病院に入院する

両親と僕はいったん自宅に戻り、必要なものだけを持って、午後3時過ぎに転院先である新潟大学病院に到着した。

病院の正面玄関から入り、受付で入院の説明、病室の説明を受けて、実際に自分が入院する西10階のフロアを見に行った。自分が入る病室に案内されると、個室で大きな窓からは日本海が見えた。景色はよかった。でも、扉は二重扉で、手動の外扉が閉まると、自動的に中扉が開く構造だった。

僕はこの場所で、1年近く過ごすこととなった──。

『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』(徳間書店)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

入院してからは、最終確認のために最初からの検査が待っていた。済生会新潟病院で行った骨髄穿刺やリンパ節生検も、ここでもう一度検査をすると言われた。

「またやるのかよ、もういいじゃん……」

僕のなかではもう白血病だと思っていたし、何回も繰り返される検査に、言葉は悪いが、正直、うんざりだった。でも、両親は「まだ違う可能性もあるからね」とほんのわずかな可能性を信じていた。

ここのところ母は、眠りが浅いのか、少し疲れた表情を浮かべていた。

「俺のせいで家族まで追い詰めてしまっているのかな」

自分のせいで家族までも巻き込んでしまっている。申し訳なさと、なぜ自分がこんなことになってしまったのか、どうしようもできない思いが僕を支配した。

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