Jリーガー「白血病」診断前に食べた焼き肉の味

家族巻きこむ申し訳なさと「どうしようもなさ」

父はインターネットなどで病気のことを調べてきており、「ほかの検査をやっていただけないでしょうか?」と医師にお願いした。

僕は受け入れる準備ができていたが、父からすると白血病ではなく、ほかの軽い病気の間違いなのではないかという願いをもっていた。

それは十分に伝わったし、そう願う気持ちも痛いほど理解できた。だからこそ、僕もその提案を黙って聞き、医師もそれに応えてくれた。

しかし、結局その検査をしても、残ったのは「ほぼ白血病」という事実だけだった。

もう家族としても受け入れるしかない。外来を終えると、僕らは一度家に帰った。僕は病気が明らかになってきたことで内心ホッとしている部分もあったが、父は運転中に何かぶつぶつとつぶやいていた。異様な空気が家族を包んだ。

より踏み込んだ検査を行うため、再び済生会新潟病院へ

家に戻り、自分の部屋で過ごしていると、再びチームドクターから電話がかかってきた。

「史哉、もっと踏み込んだ検査をしたいから、もう一度、済生会新潟病院に戻ってきてほしい」

そう言われて、リビングにいた父に「もう一度行くことになった」と伝え、父の車でこの日、2度目となる済生会新潟病院に戻ることになった。

病院に着くと、すぐに骨髄穿刺(こつずいせんし)という検査を行った。

骨髄穿刺とは腸骨から注射器で骨のなかの骨髄組織を吸引する方法だが、すぐに検査結果が出ないのと、右頚部から首のリンパを取って検査するリンパ節生検を受けて、より原因をはっきりさせるため、僕は済生会新潟病院に緊急入院をすることになった。

「母さん、これは長期化する病気だと思うから、どこかで焼肉が食べたいな」

生検までの間、僕は母にこうリクエストして、一時外出の許可をもらい、母と弟と3人で焼肉を食べに行った。

「もうこれから先、焼肉とか、食べたいものが食べられなくなるかもしれない。今のうちに食べておかないと後悔するよな……」

そう思いながら僕は焼肉を食べた。おいしかったけど、正直、複雑な味に感じた。

やはり、将来への不安と恐怖は大きくなっていた。

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