Jリーガー「白血病」診断前に食べた焼き肉の味 家族巻きこむ申し訳なさと「どうしようもなさ」

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Jリーガー・早川史哉選手が白血病と診断される前に食べた、焼肉の味はどんなものだっただろうか(写真:shige hattori/PIXTA)
プロデビューと同時期に急性白血病と診断されたアルビレックス新潟所属のJリーガー・早川史哉選手。早川選手の著書『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』では、3年7カ月を経て公式戦に戻ってきた1人の人間の、ありのままがつづられています。
本稿では、前回に引き続き、同書から一部を抜粋しお届けします。

得体の知れない相手

週明けの月曜日、2016年4月25日。

チーム指定のドクターがいる、新潟医療センター(正式名称・新潟県厚生農業協同組合連合会 新潟医療センター)に行った。もともとアルビレックスの選手として、予防接種を受ける予定だったので、ついでに喉を診てもらい、血液検査も受けた。

しかし、血液検査の結果が出てから再び診察室に呼ばれると、突然ドクターからこう告げられた。

「早川さん、今日は予防接種ができない。ちょっと血液検査の結果が芳(かんば)しくなくて。喉を見ても異常に腫れていますし、ちょっと今日は打てる状況じゃないんです」

そのときは「そうですか」と、予防接種が打てなかったにすぎないと捉えていた。

そのあと、迎えに来てくれた母の車で寮まで送ってもらった。

「母さん、俺、予防接種受けられなかったよ」

車の中で僕はこう母に告げた。

「え、そうなの? やっぱり何か問題があるのかな……」

母はかなり心配そうな表情を浮かべた。

「わからない。でもとりあえず、今日は寮で安静にするよ」

不安そうな母を横目に見ながら、僕は寮に帰ってきた。

翌日の朝。準備を整え、「さあ、練習に行くか」と寮を出ようとしたタイミングで、アルビレックスのチームトレーナーから電話がかかってきた。

「史哉、この間の血液検査の数値がやっぱり異常だから、済生会新潟病院(社会福祉法人恩賜財団済生会支部新潟県済生会 済生会新潟病院)に行って検査してきてくれ」

いきなりの電話に、僕は正直、腹が立った。

「なんだよ! せっかく練習の準備をして出るところだったのに!!」

と、自分の部屋に戻ってベッドの上に大の字で横たわった。

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