Jリーガー「白血病」診断前に食べた焼き肉の味 家族巻きこむ申し訳なさと「どうしようもなさ」
得体の知れない相手
週明けの月曜日、2016年4月25日。
チーム指定のドクターがいる、新潟医療センター(正式名称・新潟県厚生農業協同組合連合会 新潟医療センター)に行った。もともとアルビレックスの選手として、予防接種を受ける予定だったので、ついでに喉を診てもらい、血液検査も受けた。
しかし、血液検査の結果が出てから再び診察室に呼ばれると、突然ドクターからこう告げられた。
「早川さん、今日は予防接種ができない。ちょっと血液検査の結果が芳(かんば)しくなくて。喉を見ても異常に腫れていますし、ちょっと今日は打てる状況じゃないんです」
そのときは「そうですか」と、予防接種が打てなかったにすぎないと捉えていた。
そのあと、迎えに来てくれた母の車で寮まで送ってもらった。
「母さん、俺、予防接種受けられなかったよ」
車の中で僕はこう母に告げた。
「え、そうなの? やっぱり何か問題があるのかな……」
母はかなり心配そうな表情を浮かべた。
「わからない。でもとりあえず、今日は寮で安静にするよ」
不安そうな母を横目に見ながら、僕は寮に帰ってきた。
翌日の朝。準備を整え、「さあ、練習に行くか」と寮を出ようとしたタイミングで、アルビレックスのチームトレーナーから電話がかかってきた。
「史哉、この間の血液検査の数値がやっぱり異常だから、済生会新潟病院(社会福祉法人恩賜財団済生会支部新潟県済生会 済生会新潟病院)に行って検査してきてくれ」
いきなりの電話に、僕は正直、腹が立った。
「なんだよ! せっかく練習の準備をして出るところだったのに!!」
と、自分の部屋に戻ってベッドの上に大の字で横たわった。
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