そのうちの1社が、今回35人の感染者が新たに発覚することになったハルタレガ・ホールディングスだったのだ。つい今月初めに「他企業は(ハルタレガ・ホールディングスを初めとした)これらの企業を見習うべきである」とお手本になったばかりの、衛生面も整っているとされる模範企業において発覚した外国人労働者の集団感染によって、急速に危機感は増している。ちなみに検査期間中、35人の感染者全員が無症状だったという。
これだけではない。ゴム手袋大手コッサン・ラバー・インダストリーズも16日、首都クアラルンプール近郊のスランゴール州クランにある工場などに勤務する従業員を対象に検査を実施した結果、工場で感染拡大を確認したと発表。感染者数は現時点で、実に427人に上るという。うち、8人のマレーシア人従業員を除けば、残り419人はすべて外国人労働者だ。
この工場も一時稼働が停止され、現在洗浄・消毒作業が進められており、生産量全体の25%が影響を受けるという。閉鎖期間が2週間であるため、収益全体への影響は2%ほどにとどまるとされているが、残り1667人の労働者のPCR検査はまた別途予定されており、感染者数が今後さらに増える可能性も指摘されている。
医療用ゴム手袋は一段の需要増が見込まれる
医療用ゴム手袋はワクチン接種の際にも当然使用されることから、今後需要がうなぎ登りになることが予想され、世界で需要が逼迫することで価格が高騰すれば、医療機関への負担もさらに増すことになる。
ちなみに、コッサン・ラバー・インダストリーズは、2020年第3四半期(7~9月)決算で、売上高が前年同期比で、実に94.5%増の10億3335万リンギット(約264億円)を記録、純利益は7.1倍と、コロナ禍で振って湧いた特需を享受してきた形だ。同時に、政府の新型コロナウイルス対策基金に、ゴム手袋業界は相次いで支援金を拠出してきた経緯もあるが、世界の医療現場への影響をも及ぼしかねない、業界トップの企業における相次ぐ感染拡大、それに伴う総生産量の減少は決して楽観視はできない状況だ。
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