コロナで閑散「高田馬場」早稲田大生たちの底力 駅前ロータリーのゴミ掃除や飲食店支援も

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別の日、朝8時過ぎに駅前のロータリーに向かった。ここでボランティアの清掃活動をする学生たちの姿を取材するためである。活動しているのは今年1月に発足した早大のサークル「ロータリーの会」(代表・新井国憲さん=教育学部4年)のメンバーたちだ。

この日は新井さん、副代表の高橋永遠さん(法学部3年)らロータリーの会メンバーと、趣旨に賛同して集まったほかのサークルのメンバーによるコラボ清掃。総勢5人で朝8時半からロータリー内や周辺を清掃し、散乱するペットボトルや空き缶、たばこの吸い殻などを拾い集め始めた。

植え込みの周囲には吐しゃ物もある。マスク姿に手袋着用とはいえ、衛生面でのリスクが心配になる。黙々と作業を進める学生たちを尻目に、通勤途中のサラリーマンが喫煙所があるにもかかわらずロータリー内で平然とたばこを吸っている。嘆かわしい光景だ。

作業は1時間弱で終了。一帯は見違えるほどきれいになった。ごみの量は、吸い殻594本、空き缶61缶、空き瓶7本、ペットボトル26本。これでも量的には少ないほうだという。

日曜を除いて毎日清掃する学生たち

「一時期、コロナ禍の影響で活動ができなかったのですが、8月から活動を再開しました。ごみの量は、吸い殻の本数でみると、8月は1日平均約580本でした。それが9月以降は平均約780本と200本増えています。人出が増えてきているからだと思います」(新井さん)

駅前ロータリーで日々清掃活動に励む学生たち(写真:筆者撮影)

ちなみに12月12日(土)の吸い殻の本数は1200本にも達したという。

彼らの活動は日曜日を除く毎日だ。朝か夜、1時間程度の清掃を続けるのは大変なことである。大学のボランティア機関からの支援や周辺の商店などからの清掃器具などの提供はあるものの、活動資金の多くは自腹である。

そうまでして、なぜ清掃のボランティア活動を続けるのか。改めて新井さんに活動の使命、原動力などを尋ねてみた。

「高田馬場という街、とくにその玄関であり象徴であるロータリーは私たち早大生にとって縁を切ることができない大切な場所です。そんな私たちの街に無数の散乱ごみがあふれる惨状を数十年にわたって放置してきた事実に対して、何か行動を起こさなければならない、無関心ではいられないという“早大生としての使命”のようなものを感じています。

ロータリーの会の活動自体はボランティアという枠に収まるかと思いますが、公共性を目的としたボランティアというよりは、街に大きく関わる早大生自身の問題だからこそ、解決に取り組むべき大きなプロジェクトだと考えています。街全体でごみを捨てさせない空気をつくることで、敵をつくらずに問題解決に取り組むことを大切にしています」(新井さん)

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