男性不妊を引き起こす「精巣周りのコブ」の正体 検査で「精子に異常」見つかる人の約3割の原因
よく、「大人になって感染して発症したほうが、症状が重くなるのですか?」と聞かれますが、それは本当です。おたふく風邪と呼ばれるのは、ムンプスウイルスの感染しやすい部位が唾液を分泌する唾液腺で、感染すると唾液腺が走っている頰や顎の下などが腫れるからです。
しかし、ムンプスウイルスは唾液腺以外にも、髄膜や内耳、精巣、卵巣、膵臓などにも感染しやすいことが知られています。増殖したウイルスが血流に乗って、これらの臓器に感染すると合併症を引き起こすのです。
子種がなくなるのでは、と言われるのは合併症のひとつである、「精巣炎」になった場合です。男性が思春期以降におたふく風邪にかかると、「精巣炎」を発症することがあり、その合併率は20〜30%と言われています。
無精子症で「一生子どもができない」とは限らない
おたふく風邪で精巣炎を合併したかどうかはすぐにわかります。「睾丸が腫れて痛い」と訴えるからです。たいていはおたふく風邪を発症してから4〜7日後に症状が現れます。炎症が強く睾丸がひどく腫れると、その後、数カ月から1年くらいかけて睾丸が萎縮する可能性があり、両方の睾丸が萎縮してしまうと「無精子症」になるのです。
ただし、両方が萎縮してまったく精子がいなくなることはまれで、精巣炎は片側の睾丸に起こることが多いとされています。そして、精巣炎が反対側の睾丸に影響を及ぼし、精子の数が減る「乏精子症」や、精子の運動率が悪くなる「精子無力症」になることもあるので注意が必要です。
ただし、おたふく風邪で無精子症になると、一生子どもができない、と思い込んでいる方がいらっしゃいますが、必ずしもそうとは限りません。
最悪、無精子症になって精液中に精子が見つからなくても、男性不妊専門施設では、精巣内から精子を回収する手術を実施しています。回収率はかなり高いようですから、顕微授精することで十分に妊娠は期待できます。
また、手術という事態を避けたければ、他にも対策があります。1つ目は、おたふく風邪にかかったら精子を凍結すること。精巣炎になった直後でも間に合います。2つ目は、抗体検査を受けて免疫がなければワクチン接種をすること。1カ月以上あけて2回接種すれば感染しません。
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