男性不妊を引き起こす「精巣周りのコブ」の正体

検査で「精子に異常」見つかる人の約3割の原因

精索静脈瘤が見つかったらどうしたらいいのでしょうか(写真:davidf/iStock)
男性不妊の原因の1つになっている精索静脈瘤とはどのようなものか、性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」の尾上泰彦院長が上梓した『性感染症 プライベートゾーンの怖い医学』より一部抜粋してお届けします。

精巣の機能を保つための温度調節

皆さんは、男性の体の中で最も皮膚が薄いところはどこかご存じでしょうか? 答えは、陰囊(いんのう)を包む皮膚です。精子を製造する睾丸(精巣)は高温に弱いため、熱がこもらないように薄い皮膚に包まれています。

その陰囊はしわくちゃで、暑いとダラリと垂れ下がり、寒いと縮み上がります。これは、体との距離を調節してお腹の中の温度や外気の温度の影響を避けると共に、暑いときは陰囊の表面面積を広くすることで汗による放熱を加速させ、精巣を効率よく冷やすためです。

なぜ、精巣は体の外にあって、気温によって体との距離を調整するのでしょうか? それは精巣の精子をつくる機能(造精機能)が、熱に非常に弱いからです。日本人の平均体温は36〜37度ですが、精巣の機能を保つには体温より2度ほど低いのが適温とされています。ですから体温の影響を受けないように、股間にぶら下がって温度調節をしているのです。

精巣の温度が高過ぎると、当然元気な精子をつくれなくなります。つまり、男性不妊の原因として知られる「乏精子症」や「精子無力症」などが起こりやすくなるのです。実際、精液検査で精子に異常が見つかる人の約3割は、精索静脈瘤(りゅう)が原因とされています。

よく、男性の下着は体にピッタリのブリーフよりもトランクスのほうがいい、と言われるのは、暑さ、寒さで陰囊が垂れ下がったり、縮こまったりする働きをトランクスのほうが阻害しないからです。

では、ブリーフの男性は、トランクスの男性よりも元気な精子は少ないのでしょうか? ハッキリした結論は出ていませんが、米国で次のような研究結果が報告されています。

米国ハーバード公衆衛生大学院の研究チームが、ピッタリとフィットする下着をはいている群と、トランクスのようなゆるいタイプの下着をはいている群とに分けて、精液検査の結果を比較したところ、ゆるいタイプの下着をはいている群のほうが、精液濃度で25%、精子総数で17%、運動精子濃度で33%も高かったというのです。

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