アルツハイマー病「根本治療薬」が迎えた正念場 世界が注目する「アデュカヌマブ」承認の行方

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AN1792の治験に失敗したエラン社は失敗の痛手から経営が悪化、他社に買収され2013年に消滅してしまっていた。業界第2位のファイザーは、アルツハイマー病の薬の成功率があまりに低いこと(2002年以来、承認されている薬はない)から、神経疾患分野の創薬からは撤退することを2018年に表明していた。

それほどアルツハイマー病の創薬はリスクの高い事業だったのである。

「アデュカヌマブ」のフェーズ3はEMERGEとENGAGEという被験者総数3210名のふたつの治験が並行して行われたが、共同開発に手をあげたのが、日本の製薬会社エーザイだった。エーザイは1990年代に対症療法的な薬だが、抗認知症薬の「アリセプト」を開発し、一時はこの一薬だけで、年間3000億円以上の売り上げをあげていた。しかし、その「アリセプト」の特許も切れ、特許の崖と言われる売り上げ減に苦しんでいた。

2社ともに、社運をかけた開発だ。アルツハイマー病の患者は全世界で5000万人。日本でも400万人いる。もし「承認」されれば、リスクを回収し、莫大な売り上げとなる。

矛盾する治験結果

さて、そのフェーズ3の治験結果が2019年末までに出たが、これが物議をかもしている。1500人以上の被験者数があるふたつの治験があい矛盾する結果になったのだ。EMERGEでは認知機能を含むすべての評価項目を達成したものの、ENGAGEでは、プラセボより悪くなったグループもある、というものだった。

バイオジェンの主張は、0、1、3、5、10ミリグラム投与の各グループで、高容量のものだけをみれば、ENGAGEでも結果は出ている、というもの。

これをもとにFDAと折衝を続け2020年7月、ついに新薬申請にこぎつけた。以来、バイオジェンとエーザイの株価は乱高下している。

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