「ミロ」だけじゃない、大人が飛びつく健康食品 「粉ミルク」を飲む大人が徐々に増えている

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ミロと同様に牛乳などに混ぜて飲む栄養機能食品では、ロート製薬が2007年から販売している「セノビック」がある。同商品もカルシウムや鉄、ビタミンを補う役割があり、2019年にはタンパク質も加えた大人向け商品「セノビック おとなのプレミアムミルク」を投入した。「セノビック おとなのプレミアムミルク」は、ミルクココア味ではなくミルク味となっている。

「子どものために買った『セノビック』を母親が飲んでいるというケースがあった」(ロート製薬広報)ことを受けて、ラインナップを拡充した。

コロナ禍で健康志向が強まった

少子化で消費が減少傾向にあったという点では、インバウンド需要に近年支えられていた育児用粉ミルクも同じだ。粉ミルクも栄養補助の側面が注目されたことを受け、大人の飲用ニーズを取り込もうとしている。

育児用ミルク「はぐくみ」などを手がける森永乳業は、2016年に大人のための粉ミルク「ミルク生活」を発売。2017年には雪印ビーンスターク社が、50代以上の大人向け粉ミルク「プラチナミルク」を投入している。

森永乳業の広報担当者によると、主に50代以上の消費者から「大人も育児用ミルクを飲んで大丈夫か」といった問い合わせが年間100件ほどあったという。多くは「子どもの健康にいいなら大人にもいいはず」といった考えでの問い合わせだった。この消費者の声が「ミルク生活」の開発につながった。

「ミルク生活」は当初、通販限定商品として発売していたが、好評だったことから現在はドラッグストアなどでも販売されている。2020年4~11月の出荷金額は前年比で40%を超える伸び率となった。森永乳業の広報担当者は、「健康志向を背景に家でできる健康管理として注目されているのでは」と分析する。コロナ禍によって健康志向のトレンドが一層強まったことも背景にありそうだ。

健康志向の高まりも追い風になって、栄養素を手軽に補える商品が好調だ。ネスレ広報担当者は「今回の件で『ミロ』を思い出し、価値を再認識してくれた人がいれば嬉しい」と今後の販売増に期待を寄せる。一過性のブームに終わらない可能性もありそうだ。

兵頭 輝夏 東洋経済 記者

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ひょうどう きか / Kika Hyodo

愛媛県出身。東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年東洋経済新報社入社、飲料・食品業界を取材し「ストロング系チューハイの是非」「ビジネスと人権」などの特集を担当。現在は製薬、医療業界を取材中。

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