過剰な雇用調整助成金でしわ寄せが若者に集中 経済をできるだけ動かして採用を増やす政策を

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過去の両者の関係を単純に当てはめると、失業率は2%台前半から5%程度まで悪化してもおかしくなかった。しかし、実際の失業率は3%台前半にとどまっている。経済活動の停止によって仕事を失った者の多くが、雇用調整助成金の拡充を背景に、就業者の内訳である休業者にとどまったためである。

休業状態から失業への移行は低く抑えられた

緊急事態宣言が発令された2020年4月に597万人(前年差420万人増)と過去最多となった休業者数は、10月には170万人(前年差12万人増)となり、ほぼ平常時(2019年平均は176万人)の水準まで減少した。この間、前月の休業者が当月にどの就業状態に移行したかを確認すると、休業者にとどまる者の割合が54.4%、従業者への移行が34.6%、失業者への移行が2.5%、非労働力人口への移行が8.6%(いずれも2020年5~10月の平均)となっている。

休業状態から失業する人の割合は低く、現時点では、雇用調整助成金の拡充が失業者の増加に歯止めをかける役割を果たしていると評価できる。

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