過剰な雇用調整助成金でしわ寄せが若者に集中 経済をできるだけ動かして採用を増やす政策を

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ただし、経済活動の水準が元に戻らない中で無理に雇用を維持し続けることは、新規雇用、特に新卒採用の抑制につながるおそれがある。

実際、新たな失業者数は一定程度抑えられているのに対し、新規就業者数の減少ペースが加速している。また、日銀短観2020年12月調査では、2011年度から増加が続いていた新卒採用計画が2020年度に前年比マイナス2.6%と10年ぶりの減少となった後、2021年度については同マイナス6.1%と減少幅が拡大している。

新卒採用市場を振り返ってみると、バブル期には完全な売り手市場で企業は新入社員を大量に採用したが、バブル崩壊後は一転して採用を大きく減らした。景気が回復しても企業の雇用過剰感はなかなか解消されず、就職氷河期と呼ばれる時代が長く続いた。

明るい兆しが見られるようになったのは2000年代半ばである。2002年に始まった景気回復が戦後最長を更新する中、団塊世代が60歳の定年を迎え始める2007年以降、大量の退職者が発生することが予想されていたため、企業は将来の人手不足に備えて新卒採用を増やし始めたのである。2008年に発生したリーマン・ショック後には新卒採用数がいったん大きく落ち込んだが、その悪影響が一巡した後は企業の人手不足感の高まりを背景に再び増加が続いていた。

景気によって新卒採用数が大きく振れてしまう

日本では、以前から採用が新卒に偏りすぎていることが指摘されてきた。労働市場全体の雇用者数は景気循環によってそれほど大きく変動しないが、新卒採用数は景気が良い時には急増し、景気が悪い時には急減するという特徴がある。全体の雇用者数が年度ベースで最も大きく落ち込んだのは、2009年度の前年比マイナス1.0%だが、新卒採用数は1990年度以降、前年比で2桁の減少となったことが7回ある。

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