外食不況とは無縁! 独り勝ちの回転ずし
デフレへの対抗策 積極値下げを展開
今年1月、「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトは、6割超の店舗で平日終日「1皿90円」キャンペーンを始めた。テレビ広告も行い、1月の既存店売上高は前年同月比4・9%増に伸長。2月から100円に戻すと客足は鈍ったが、再び90円を打ち出すと息を吹き返した。中井鉄太郎取締役は、「1皿90円でも客単価は変わらなかった。消費者はこちらが背中を押せば、財布のヒモを解いてくれる」と分析する。
同じくあきんどスシローの「スシロー」、くらコーポレーションの「くら寿司」も、昨年から1皿90円のキャンペーンを本格的に展開している。
この流れは、100円業態だけではない。銚子丸は1皿136円から525円の価格帯だが、セットメニューでは実質的な値下げを行っている。たとえばサーモンやマグロ、ブリなどは「約3割安い挑戦的な価格で出している」(大塚健一執行役員)。
各社に共通する狙いは、デフレへの対応だ。とはいえ積極的な値下げ攻勢ができる背景には、原料の調達環境も大きく影響している。
「水産物価格は2008年比で3分の2程度に下落した」。築地の水産卸売会社はこう指摘する。
08年当時、水産物は世界的に需給が逼迫し、日本勢は買い負けに苦しんでいた。だがリーマンショックを境に環境は一変する。それまで欧米が買っていたマグロやカニなど高級水産物の需要が急減したのだ。在庫はダブつき、価格は大幅に下落した。
日本には調達のチャンス。水産会社は調達に走ったが、国内も不況の真っただ中。飲食店で接待する企業は激減し、すし店や割烹で使われる高級魚が売れない。居酒屋でも魚に代わり、鶏肉など手頃なメニューを充実させるようになった。