政府が「2030年ガソリン車禁止」を打ち出した訳 方針急転換でメーカーの戦略修正は必須に
スズキの鈴木俊宏社長は新型「ソリオ」のオンライン会見で、筆者からの電動化戦略の現状と今後の方針に関する質問に対して「(ソリオに搭載の)マイルドハイブリッド、プラグインハイブリッド、そしてEVへとステップを踏むべきだが、昨今のEV化(の潮流)については、スピードが加速気味かと思う」と答えている。
そのうえで、将来的にはEV化は当然であり、現行車と比べてのコスト上昇、充電インフラ整備や電池の再利用など、社会全体として考えるべき課題として、スズキ社内で冷静な姿勢で協議を進めるべきだとの考えを示した。
さらには、コストメリットを考えて「トヨタから電動化部品の供給を受けて、スズキ独自の電動車開発をする可能性もある」という発言もあった。
また、マツダの丸本明社長にもオンライン会見で、筆者が電動化戦略の今後を聞いたが「国や地域によってエネルギー供給体制など社会背景は大きく違う。それぞれの社会環境にあったソリューションを提供していく」として、マツダが進める各種SKYACTIVユニットの仕向け地別の最適化を強調した。
トヨタの舵取りはいかに?
前出の“従来車”の実情を考えると、スズキのほか、スバルとマツダの電動車比率が低い。これら各社はトヨタとの各領域で協業をすでに行っており、今後はトヨタと電動化における関係が一気に深まりそうだ。
そのトヨタも、2017年12月に「電動車普及のマイルストーン」としてグラフ化しているが、その後に「計画(2017年12月)を上回るペースで電動化が加速」として、計画を前倒ししている。今回の政府による「2030年代での規制強化」に合わせて、同計画のさらなる大幅な前倒しは必須だ。
周知の通り、日本の自動車産業界におけるトヨタの発言力と実行力が他メーカーを大きく凌ぐというのが実情である。
トヨタが今期末の決算発表あたりに、大胆な電動車シフト戦略を公表する可能性は十分にあり、それにより日本自動車産業界が全体として大きく電動化シフトに舵を取ることになるのではないだろうか。
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