Uberが後発なのに世界一になれた経営学的理由 大企業が万能だった時代は終焉を迎えつつある

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このような行き詰まりに、DX(デジタルトランスフォーメーション)によるイノベーションという明るい材料が加わって、企業経営のパラダイムに大きな変革が起きつつあります。例えば、近年では、大企業よりもスモール/ベンチャー・ビジネスのほうがイノベーションを起こすといわれています。大企業万能時代は、終焉を迎えるかもしれません。

また、消費者が自己の「物欲」で大量消費する、という前提も変わりつつあります。「所有せずにシェアする」「金銭以外の価値をより重要視する」「自己利益よりも社会の利益を大切にする」など、すばらしい新規事業機会が生まれる素地が整いつつあるのです。

さらに、技術の進化により「生産者対消費者」という構造も崩れつつあります。例えば、執筆したものを、出版社を介さずに直接ネットにアップして販売することも可能になりつつあります。消費者が企業を頼らずに、自らが「生産者」になる新しい可能性が生まれつつあるのです。

企業経営のパラダイムに大きな変革が起こっています(KADOKAWA提供)

資本主義の原則から逸脱したウィキペディア

こうした背景により、今までの資本主義では考えられない企業経営が現れつつあります。例えば、ウィキペディアです。

資本主義的企業経営には、以下の4つの原則がありました。

  • ①営利企業のほうがよりよいサービスを提供できる
  • ②貨幣による財・サービスの交換がベストである
  • ③消費者には所有欲がある
  • ④生産者と消費者は別の主体である
  •  

ところが①については、非営利団体であるウィキペディアが従来の百科事典を凌駕しました。

資本主義的企業経営の原則が崩れています(KADOKAWA提供)

②は、人・企業の原動力は経済的利益、つまり「お金」であるという前提です。「無料のサービスは品質が低い」「無料で働く人は質が低く、いつでも辞めてしまうから当てにならない」、だから「お金を払ってこそ事業が成り立つ」という考え方です。

でも、ウィキペディアの執筆者は、無料で執筆し、利用者も無料で利用しています。

③は、人間の所有欲が需要を生み出すという前提です。ところがこれも、我々はウィキペディアを購入して所有しているわけではありません。ほかにも、自家用車のようなステータスの象徴と思われていた商品ですら、シェアリングが増えています。

最後の④の前提も崩れています。我々はウィキペディアを利用できますが、自分が詳しいトピックであれば加筆や修正することもできます。つまり、読者であると同時に執筆者なのです。

資本主義こそがイノベーションを起こし、よりよいサービスを生み出すはずです。でも、資本主義の原則から逸脱しているウィキペディアがイノベーションを起こし、既存の百科事典を凌駕したのです。

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