GoToで感染爆発なら「菅首相の責任」の波紋 問われる事業継続の可否、勝負は12月の3週間

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「Go To事業」に絡み、菅義偉首相の責任が問われようとしている(撮影:つのだよしお/アフロ)

師走を迎えた永田町が「Go To政局」で大揺れとなっている。「コロナ感染防止と経済回復の両立を目指す、菅義偉首相肝いりのGo To事業が、冬場のコロナ感染急拡大により、継続の可否が厳しく問われているからだ。

立憲民主などの主要野党は「感染拡大防止のため、いったん事業中止」を主張するが、菅首相は「やめたら経済に甚大な悪影響がある」と、一部見直しなどで事業を継続し、2021年1月末までの実施時期も6月末まで延長する構えだ。

医療崩壊なら緊急事態「再宣言」も

12月17日までの「極めて重要な3週間」(菅首相)で東京、大阪など大都市が感染爆発となり、医療崩壊も現実味を帯びれば、政府は4月以来の緊急事態再宣言も検討せざるをえない。

その場合、年末年始の帰省や旅行の自粛圧力が強まり、緊急事態宣言下だった5月連休時と同様、観光だけでなく経済全体に大きな打撃を与えるのは避けられない。強引にGo To事業を押し進めてきた菅首相の政治責任も問われ、2021年1月18日召集予定の次期通常国会における野党側の厳しい追及で、「政権もピンチに陥る」(自民幹部)ことも想定される。

Go To事業は4月にコロナ収束後の実施を前提に政府が閣議決定した観光業救済策だ。安倍晋三内閣(当時)の官房長官だった菅首相が主導する形で、コロナ第2波が始まっていた7月下旬に、事業の中核であるGo Toトラベルを前倒しでスタートさせた。

ただ、感染再拡大が際立っていた東京都は、小池百合子都知事が「暖房と冷房を同時にかけるようなもの。(政府は)よーく考えてほしい」などと反発。結果的に政府が東京を除外して実施を決めた経緯がある。

ただ、夏休みの観光シーズンでの事業の経済効果は大きく、官房長官だった菅首相も「賭けに勝った」と周囲に漏らしたとされる。菅首相は9月16日の政権発足後も、Go Toを経済回復策の中軸に据え、秋や年末年始の観光シーズンにトラベル、イート両事業を全面展開する考えを繰り返してきた。

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