GoToで感染爆発なら「菅首相の責任」の波紋 問われる事業継続の可否、勝負は12月の3週間

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野党側は年末ぎりぎりまで会期を延長し、Go To問題や桜を見る会前夜祭の経費補填問題で安倍前首相の国会招致を求めているが、自民党は国会閉会後も毎週、衆参両院での閉会中審査を実施することで野党を説得する構えだ。

そうした中、野党側は臨時国会会期末の内閣不信任案提出を見送る方向となった。自民党が国民投票法の次期通常国会での採決を容認する姿勢を示したのが提出見送りの理由だが、「不信任提出が年明け解散の引き金になることを恐れた」(国民民主幹部)との見方も出る。

国会閉会後、菅首相は予算編成などで政府の対応を国民にアピールする一方、NTTドコモが3日に発表した携帯料金大幅値下げなどを政策運営の成果として、コロナ対応での迷走批判をかわしたい考えだとされる。

菅首相は12月2日夜、都内での自民党議員との会食で、ドコモの料金値下げについて、「大きな第一歩を踏み出してくれたことは非常にありがたい」などと自慢げに語ったとされる。

会見で問われる「首相の器」

しかし、年末までに感染爆発状態となれば、緊急事態再宣言をしなくても経済への打撃は計り知れない。感染によって死亡者が増えたり、企業倒産の増加などに伴う自殺者急増が重なれば、感染防止優先派と経済回復優先派の双方から政府の責任が追及されることは避けられない。

菅首相は国会が事実上閉幕する12月4日夕にも、就任時以来2度目の本格的記者会見に臨むとみられる。しかし、これまでの国会答弁のようにメモの棒読みに終始し、質問にも自らの言葉で説明できなければ、「首相としての器かどうか」も問われかねない。

自民党の吉川貴盛元農林水産相が在任中に大手鶏卵生産会社の元幹部から現金を受け取った疑惑が浮上したことも、菅政権への打撃となっている。安倍前首相の桜疑惑とともに年内の捜査進展は必至とみられており、与党内にも不安が広がる。

年末年始の政局展開次第では菅首相の解散権も縛られ、「2021年9月の総裁再選による4年の本格政権どころか、任期内の退陣も含めた政権危機も現実のものとなりかねない」(自民長老)との見方も出る。菅首相にとって年末までの師走が「政権の命運を決める重要な4週間」(同)となりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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