GoToで感染爆発なら「菅首相の責任」の波紋 問われる事業継続の可否、勝負は12月の3週間

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関係者によると、両者の会談は12月1日昼になって小池氏が急きょ申し入れ、菅首相と電話で協議したうえで、夕刻に直接会って方針を決めた。トラベル事業を担当する国土交通省や観光庁は徹夜作業での対応に追われたが、自粛要請という曖昧さと基礎疾患の確認などの困難さもあり、今後現場の混乱は必至だ。

札幌、大阪両市から出発する旅行でのトラベル事業の利用自粛要請は全閣僚が出席する政府対策本部で決定した。菅首相と親しい鈴木、吉村両知事との調整だったためで、政府はキャンセル料の扱いも含めてすぐ詳細を発表するなど混乱は少なかった。

しかし、小池氏の要請について、菅首相は「都の対応として理解できる」と述べるにとどめるなど、感情的に対立しているとされる両氏の意思疎通の不足も目立ち、それが政府と都の担当部局の混乱した対応を招いた。

運用見直しでは感染は止まらない

この菅・小池会談に象徴されるように、Go To事業の運用方法をめぐっては、政府が都道府県知事に判断を委ねる立場を打ち出したのに対し、知事側からは「国が知事任せにするのは責任放棄だ」(有力知事)との不満が噴出している。

東京での高齢者などの発着自粛要請についても、医療関係者からは「そもそも高齢者や基礎疾患の人は、Go To利用を控えていたはず。むしろ、感染していても無症状で活発に活動する若い世代にこそ自粛要請すべきだった」との指摘が相次ぐなど、対応の「ちぐはぐ感」(都庁幹部)は否めない。

「重要な3週間」が終わるのは12月17日だが、専門家の間では「東京も含めた一部の運用見直しだけでは、それまでに感染拡大が止まるはずがない」との見方が支配的だ。12月最初の週末には「感染者が4000人を突破し、東京の感染者も600人超えとなるのは必至」との見方も出る。

重傷者・死亡者増は1週間程度遅れて現れるとされるだけに、12月17日前後に感染急拡大が頂点に達し、「東京、大阪など大都市が事実上の感染爆発状態になる可能性」(専門家)も否定できない。

そうなれば、菅首相は年末年始の緊急事態再宣言を検討することを迫られる。ただ、政府与党は臨時国会を延長せずに5日で閉会させ、その後は第3次補正予算案や2021年度予算案の編成作業に全力を挙げる一方、緊急事態宣言は回避する方針だ。

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