支持率急落、菅首相「鉄壁ガースー」戦略の限界 会見はメモ棒読み、紋切り型答弁で説明を回避
12月5日の臨時国会閉幕を受けた各メディアの世論調査で、内閣支持率が急落し、菅義偉首相や与党首脳がいらだちを強めている。Go To事業の見直しに象徴されるようにコロナ対応は迷走。政権絡みの「政治と金」スキャンダルが加わり、菅首相による年末年始の政局運営が厳しさを増している。
政権発足から間もなく3カ月が経過する。いわゆる「新政権のハネムーン期間」に開かれた前の臨時国会は、コロナ対策や日本学術会議会員任命拒否問題に加え、終盤で安倍晋三前首相の「桜」疑惑が再燃するなど、「攻め所満載」(立憲民主幹部)の国会攻防となった。
これに対し、菅首相は「守り一辺倒で塹壕(ざんごう)にこもる」(同)という官房長官時代からの「鉄壁ガースー」戦略で野党の攻勢をかわし続けた。野党の内閣不信任案提出は「年明け解散説」という脅しで封じ込め、会期延長も拒否して国会を閉じた。
Go To継続に感染拡大批判
ただ、菅首相が自らの肝いり政策として推進しているGo Toトラベル事業については、「全国的な人の移動を促進させたことで、11月以降のコロナ感染急拡大につながった」(医療専門家)との批判が噴出。与党内からも「いったん中止して、感染が下火になったら再開するほうが経済への打撃も少ない」(閣僚経験者)と軌道修正を求める意見が相次いでいる。
菅首相は「Go Toトラベルが感染拡大につながったというエビデンス(証拠)はない」の一点張りで、Go To事業の2021年6月末まで延長することを決断した。12月中旬に感染拡大傾向が続いていても事業を続行する構えだが、その時点で内閣支持率がさらに下がれば、年明け以降の政権危機につながる可能性もある。
各メディアが7日にかけて公表した世論調査によると、内閣支持率は平均で10ポイント以上急落した。菅内閣の支持率は発足時に歴代3位とされる平均70%だった。その後、学術会議問題への批判で7~10ポイント下落したものの、その後は回復傾向を示していた。
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