支持率急落、菅首相「鉄壁ガースー」戦略の限界 会見はメモ棒読み、紋切り型答弁で説明を回避

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しかも、その内容は「3大スガ案件」とされる携帯電話料金値下げとデジタル庁の創設、不妊治療の保険適用ばかりを強調するもの。短期間での首脳外交の成果も自賛し、「自己宣伝オンリー」(立憲民主幹部)だった。

その後の記者団との質疑も、幹事社の質問には菅首相のメモ棒読みが続き、自由質問になってようやく緊張したやり取りとなった。学術会議会員の任命拒否問題について、「これだけの反発を予想していたか」との質問にはメモを見ずに顔を上げ、「かなりなるんではないかと思っていた」と、やや得意そうに答えた。

会見時間は約50分間で質問者は12人。司会役の内閣広報官が指名したが、政治スキャンダルを取り上げたのはフランス人の特派員だけだったため、「事前に仕組まれた通りの首相会見」(有力地方紙幹部)との不満も相次いだ。

首相失格の菅流答弁術

しかも、多くの記者が挙手を続ける中、次の日程を理由に会見を打ち切ったあたりは、安倍前首相の記者会見対応とまったく同じで、「前例打破どころか、悪しき前例踏襲」(大手紙幹部)とも見える。

安倍氏は記者団の追及に時折感情的な言葉で反論する場面もあったが、菅首相の場合は学術会議問題を薄笑いでかわした以外は、表情も変えずに応答メモを読み続ける姿勢に徹していた。このため、会見全体も平板だった。

こうした「菅流答弁術」は、7年8カ月にわたった官房長官時代の定例会見で、批判的な質問を「指摘は当たらない」「問題ない」との紋切り型で否定してきた手法をそのまま継続しているように見える。

ただ、首相就任後も「鉄壁ガースー」の答弁スタイルのままでは、「国民への説明責任を果たしていない。トップリーダーとしては失格」(自民長老)との批判は避けられない。

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