支持率急落、菅首相「鉄壁ガースー」戦略の限界 会見はメモ棒読み、紋切り型答弁で説明を回避
学術会議問題で最大のポイントの任命拒否の理由については、国会答弁と記者会見で「人事のことは答えられない」と繰り返すだけだ。「桜」と共に浮上した吉川貴盛元農水相への鶏卵業者からの現金供与疑惑についても、「捜査中の問題はコメントを控える」の一点張りで、政治家としての説明責任も「議員個人の問題」と素知らぬ顔だ。
菅首相自身は、国会が閉会した5日夜の側近議員らとの会食で「(国会論戦には)徐々に落ち着いて対応できるようになった」と胸を張ったとされる。これに対し、野党第1党のリーダーとして論戦を挑んだ立憲民主党の枝野幸男代表は7日のインターネット番組で、「一貫して塹壕の中で、守り一辺倒だった。これではまったく議論が深まらない」と、菅首相の答弁スタイルを厳しく指弾した。
菅首相の強気を支える野党の弱体ぶり
国会閉幕を受けて政府は2020年度第3次補正予算案と2021年度予算案の編成作業に全力を挙げる構えだ。菅首相は両予算案を一体化した15カ月予算とする考えで、菅首相は8日午前の政府・与党政策懇談会において、事業規模を73・6兆円とし、財政支出は40兆円とする追加経済対策の策定を表明した。政府与党はこれを踏まえて、12月中旬にも第3次補正案を、続いて22日に2021年度予算案を閣議決定する段取りだ。
前臨時国会の会期末に立憲民主など野党側が内閣不信任案提出を見送ったのは、「菅首相に衆院解散のきっかけを与えたくなかった」(立憲民主幹部)というのが理由とされる。与党内では、こうした野党の弱体ぶりが、「菅政権の強気を支えており、年末年始も政局混乱はありえない」(公明幹部)との声も広がる。
しかし、12月第3週になっても感染拡大が続いていれば、菅首相の無策への国民的批判はさらに拡大するのは確実だ。その際、Go Toトラベルをいったん中止することになれば、菅首相が自ら失敗を認めたことになる。逆に強引に事業を続ければ、国民の恐怖感も拡大し、大規模な年末年始の旅行キャンセルなどが経済を痛撃する。年明け以降も「出口の見えない闇」(財界幹部)が続くことになりかねない。
菅首相は6日に72歳の誕生日を迎えた。そして24日のクリスマスイブには政権発足100日という節目の日を迎える。今春、4コマ連載漫画「100日後に死ぬワニ」(100ワニ)が大人気となったが、菅首相は「イブの100日目」をどんな状況で迎えるのか。「菅サンタの国民へのクリスマスプレゼントがコロナ感染拡大だったら、支持率はさらに急落して『100ワニ』ならぬ、『100スガ』にもなりかねない」(閣僚経験者)との意地悪な声も聞こえてくる。
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