「クラウン」SUV化、4ドアセダン終焉の可能性 自動車の基本形、セダンの成り立ちと未来予想

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しかし、それでは荷物が走行中に落ちやすかったり、重い荷物を屋根に載せれば重心が高くなって走行が不安定になったりする恐れがある。そこで、荷物をきちんと収納できる荷室がうしろへ出っ張って、今日の4ドアセダンのような姿へ移っていくのである。その派生として、荷室部分をより大きくしたステーションワゴンが生まれる。

クルマの歴史は、性能向上の歴史でもあり、最高速度を競うことは19世紀からはじまっていた。競争をすることで性能が高まり、また信頼性耐久性も向上した。もちろん馬車の時代にも競争を目的としたり、2人乗りで軽快に走ることを目指したりした馬車もあり、クルマの時代となってスポーツカーが登場する。

それでも4ドアセダンが人と荷物を運ぶ実用性において、また高い速度で移動することに対しても、あらゆる用途を総合的に満たせる車種として中心的役割を担ってきたのである。

1955年、純国産乗用車として誕生したトヨペット・クラウン(写真:トヨタ自動車)

ミニバンブーム「オデッセイ」のベースも4ドアセダン

4ドアセダンやステーションワゴンが市場にある程度行き渡ったころ、ミニバンという新しい乗り物が登場した。ミニバンは、アメリカで生まれた。基は商用のバンであり、その小型版がミニバンだ。荷物を運ぶバンに、人を大勢載せられる座席を設け、送迎などに使った。これが発展して、乗用車としての快適性をより高めたミニバンが出回るようになる。

乗用車としての快適性をより高めたのは、ホンダ「オデッセイ」だろう。ホンダは基本的に商用バンをつくっていなかったので、4ドアセダン「アコード」を基にミニバンを開発した。それがオデッセイだ。

ミニバンブームの火付け役となった初代オデッセイ。そんなオデッセイは、ホンダが培ってきた高性能セダンの技術から生まれた(写真:ホンダ)

4ドアセダンを基にしているので、快適性はもちろん、走行性能も高い。それでいて、バンのような背の高さと荷室の広さによって、荷物もたくさん運べる。車体の大きさを利用して3列シートでもあるため7人乗車もできる。

こうして、1994年のオデッセイ誕生以来、国内はもちろんアメリカにおいてもミニバンが一世を風靡した。欧州では、MPV(マルチ・パーパス・ヴィークル=多用途車)としてミニバン的なクルマが喜ばれた。メルセデス・ベンツでさえ「Vクラス」と呼ばれるミニバンを販売するようになる。

しかし、それから約20年を経て、今日ではミニバンの数は限られている。なくなったわけではないが、代わりにSUV(スポーツ多目的車)が人気をさらった。

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