JR東「特急車内テレワーク」本当に仕事できるか 成田エクスプレスを両国駅に停めてオフィスに

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両国駅3番ホームに停まる成田エクスプレスの車両。JR東日本千葉支社が「シェアオフィス」として活用する実証実験を行った(編集部撮影)

JR総武本線の両国駅で11月27、28日の両日、特急「成田エクスプレス(N’EX)」用のE259系特急型電車を「シェアオフィス」として使う、ユニークな実証実験が行われた。

通常は使われていない両国駅の3番線臨時ホームに6両編成のN’EXを停め、車内をテレワーク用の空間として開放。リクライニングシートにコンセント、Wi-Fiも完備という車内設備を生かし、シェアオフィスとしてご利用を――という試みだ。

コロナ禍でオフィス以外での就業が奨励される中、「N’EXでテレワーク!」をキャッチフレーズに利用者を募ったところ、2日間で約250人の申し込みがあったという。参加者数はコロナ感染対策として、両日とも本来の定員(6両で290人)のほぼ半分の140人に絞っていたため、なかなかの好評だったといえるだろう。

「N’EXが余剰」だからではない?

コロナ禍の影響を受け、日本政府は海外との人の出入りを制限している。一部の国からの入国者は2週間の待機期間がなくなるなどの緩和も行われるようになったが、いわゆるインバウンド、つまり海外からの観光客の入国はほぼゼロに絞られている。成田国際空港を発着するN’EXの利用客も激減。現在は本来の運行本数のうち、30%程度しか運転していない。

そんな背景もあり、一見すれば「N’EXの余剰ありきのイベント」のようにも見える今回のテレワークへの活用。ところが、今回の実証実験はそうした目的とは異なる位置付けだったという。

今回の実証実験を行ったJR東日本千葉支社は、実験初日の11月27日から管内の6駅で個室ブース型のシェアオフィス「STATION WORK(ステーションワーク)」のサービスを開始した。N’EXの活用は「(ステーションワークの展開について)より広く知ってもらうきっかけになればと企画した」と、同支社事業部企画・地域共創課企画グループの池下智之氏は語る。つまり、シェアオフィス立ち上げの目玉イベント的な意味合いが大きかったのだ。

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