JR東「特急車内テレワーク」本当に仕事できるか 成田エクスプレスを両国駅に停めてオフィスに
車両を駅に停めてシェアオフィスとして活用するというアイデアは、「自社が持つ駅施設や車両を使ってどんなサービスを提供することができるか、実験を通じて洗い出すことが目的」だったと池下氏はいう。
N’EX以外の車両も候補に挙がっていた。有力だったのは、サイクリスト向けのツアー列車「B.B.BASE」の209系を用いる案だ。ただ、同車両は電源が全席にはない。テレワークに必要なパソコンやモバイルデバイスの仕様に耐えうる電源やWi-Fiなどを備えた車両を絞り込んだ結果、特急車両のE259系を選定したという。
「設備を中心に検討した結果、Wi-Fiや電源などテレワーク環境に適しているのがたまたまN’EXの車両だった。正直、その観点だけで選んだといって過言ではない」と池下氏。結果的に運行本数が減っているN’EXの車両が選ばれたものの、余剰車両の活用ありきではなく、シェアオフィスとして活用できる既存の施設として白羽の矢が立ったというのが真相のようだ。
やっぱり人気はグリーン車
車両を留め置く場所として両国駅3番ホームを選んだのは、千葉支社管内の駅としては都心からのアクセスがよく、定期列車の運行を妨げない場所であるためだ。同ホームはこれまでも各種イベントに活用されてきたが、N’EXの車両が入線するのは「運用上の都合で入った可能性はあるが、計画的に入れたのは初めて」(池下氏)。予約は「ステーションワーク」のアプリを活用し、料金は15分100円だった。
千葉支社によると、マスコミ各社の取材が開放された27日午前の時点で同日の予約は約130人、2日目の28日には約120人の予約が入っていた。両日とも開設時間は10時~16時で、すべての予約者が同時に会場にやってくるわけではないため、スペースは「三密」のないゆったりした環境だったといえる。
ただ、27日午前11時ごろの車内はやはりグリーン車が人気。座席は指定ではなく、料金も普通車と変わらないことから、2人席を1人で利用する形で全列が埋まっていたのが目についた。ただ、ほかの車両は1両に数人が着席している程度で、利用者は静粛な空間の中で仕事や勉強に取り組んでいる様子だった。
今回はイベント的な要素も強かったものの、利用者の評価は高かったようだ。グリーン車の座席でパソコンを使って仕事をした30代男性は、「人がいっぱいいるので気が散るかと思ったがそうでもなかった」といい、シートにはテーブルとドリンクホルダーがつき、リクライニングもできることから「居心地は想像以上によかった」と高い評価を下していた。
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