JR東「新幹線オフィス」開始、将来は専用車両も KDDIと組み、来年からテレワークの実証実験

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新幹線車内をテレワークオフィスとして活用する「新幹線ワークプレイス」構想について説明するJR東日本の深澤祐二社長(記者撮影)

JR東日本は、東北新幹線の車両をテレワークオフィスとして活用する「新幹線ワークプレイス」構想を12月15日に発表した。来年からスタート。当初は既存車両を使用するが、将来は専用の車両を造ることも検討する。

同社エリアの新幹線では「JR-EAST FREE Wi-Fi」という携帯電話の電波を利用した無料公衆無線LANサービスが提供されている。今年7月に東北新幹線七戸十和田―新青森間、上越新幹線越後湯沢―浦佐間で携帯電話サービスが利用可能になり、フル規格新幹線の全区間で同サービスが利用できるようになった。

ただ、新幹線の客室内で仕事をする場合は、携帯電話での通話は自席でなくデッキでというのがマナーであり、パソコンのキーボードを叩く音が周囲の迷惑にならないか気になるという人もいる。そこで、テレワーク専用の車両を設置して気兼ねなく仕事してもらおうというわけだ。

「通常のオフィスで仕事をするのと同じような環境を提供する」と、深澤祐二社長は説明する。個別の通信回線やテレワークツールも提供される。新幹線の客室内でZoom会議もできるようになるかもしれない。

実証実験は「できるだけ早い時期」

まずは既存の列車の一部をテレワーク推奨車両として、個別の通信回線を提供する実証実験を「来年のできるだけ早い時期」(深澤社長)にスタート。利用者から働く機能としての要望を聞き、多くの利用者が同時にインターネットを使うことでネットワーク上の問題が起きないかといった技術面を検証した上で、「次のステップとしては専用車両を視野に入れて考えていく」(同)という。

「新幹線ワークプレイス」のイメージ(画像:JR東日本)

同社が「新幹線ワークプレイスのイメージ」として紹介したCG画像は、既存の新幹線車両よりも窓がずっと大きく、開放感あふれるデザインとなっている。だとすると、既存車両の客室内を改造するのでなく、新たなワークスタイルにふさわしい専用車両をゼロから造り上げる可能性もある。

JR東日本はコンセント、Wi-Fiが完備した成田エクスプレス用の車両を両国駅に停車させ、列車内をテレワークオフィスとして開放するという実証実験を11月27~28日に行っている。この実証実験が今回の新幹線をテレワークオフィスとして活用する構想につながったのだろうか。

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