「新幹線オフィス」誕生、仕事場としての実力診断 座席で電話OK、「スマートグラス」貸し出しも
東北・北海道新幹線の列車内でテレワークが可能となる「新幹線オフィス」の実証実験が6月14日からスタートした。7月16日までの平日、約1カ月間にわたって行われる。
新幹線の車内でノートパソコンを開いて仕事をするビジネスパーソンは少なくない。コロナ前には日中、満員の新幹線車内でパソコンのキーボードをたたく乗客の姿が多く見られた。
しかし、仕事をしている人にとっては、子供の騒がしい声がうるさくて集中できないという人もいるだろう。逆に自分のキーボードの操作音が隣で寝ている乗客の迷惑にならないかと気をもむ人がいるかもしれない。また、携帯電話で打ち合わせをする場合、自席からデッキに移動することがマナーになっている点もネックだ。つまり、新幹線の客室は仕事をするための最適な空間ではない。周囲に気兼ねなく仕事できる車両があってもいいのではないかという発想から新幹線オフィスが生まれた。
2度目の「新幹線オフィス」実証実験
2020年12月15日、JR東日本は新幹線の車両をテレワークオフィスとして活用する構想を発表した。同社は新幹線車内で無料の公衆無線LANサービスを提供しているが、セキュリティ面で不安という人には個別の通信回線を提供する。「通常のオフィスで仕事をするのと同じような環境を提供する」と、深澤祐二社長が説明している。
今年2月1日、東北新幹線「はやぶさ」「やまびこ」の一部列車を使った新幹線オフィスの実証実験が始まった。2月26日まで約1カ月実施する予定だったが、2月13日の福島県沖地震で東北新幹線が被災し、実証実験は途中で打ち切りになった。
この実証実験の結果、「手応えはあった」と、前川忠生副社長は5月20日の決算説明会で述べている。利用者からは「周囲に気兼ねなく仕事ができる」といったポジティブな反応が多かったという。とはいえ、「パソコンの画面を隣の人にのぞき見されるリスクもある」「前の席の背もたれに付いているテーブルが小さくて使いづらい」などの意見もあり、再度の実証実験を行ってこうした点を改善できるかどうか検証することになった。
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