「新幹線オフィス」誕生、仕事場としての実力診断 座席で電話OK、「スマートグラス」貸し出しも

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今回の実証実験は東北・北海道新幹線「はやぶさ」の全列車の1号車が、始発駅から終着駅までの全区間において新幹線オフィスとして利用される。一部の列車だけを対象としていた前回の実証実験に比べて実施範囲が大きく広がった。1号車の座席は販売されず、別の号車の指定券を持っている乗客が自由に利用できる。追加料金は不要だ。

新幹線オフィスに座席指定はなく、空いている席に座って仕事をする。「3密を回避するため、また、仕事に集中できる環境を確保するため、B、D席は利用せず、A、C、E席を利用していただきたい」と、JR東日本の担当者が話す。1号車の定員は29人だが、B、D席を使用しない場合、新幹線オフィスの利用者可能人数は17人となる。

なお、はやぶさに用いられるE5系には電源コンセントの設置が窓側と最前列に限られている車両もあるため、通路側のC席を利用するとコンセントが使えない可能性もある。

「スマートグラス」の貸し出しも

東京―仙台間、または東京―盛岡間においては、希望者にはauのWi-Fiルーターが個別に提供されるので、公衆無線LANと比べて高速、高品質な回線を利用できる。

ヘッドホンとパーティションが一体化したウェアラブル端末を着けてパソコン作業をする様子(撮影:尾形文繁)

また、客室内に設置されたスピーカーから人混みの雑踏のような音を絶えず流して、客室内での会話を周囲に聞こえにくくするという取り組みも行われている。雑踏の音のような「情報マスキング音」には、オンライン会議や携帯電話の会話漏れの軽減のほか、仕事に集中できる効果もあるという。

ノイズキャンセリング機能のあるヘッドホンとパーティションが一体化したウェアラブル端末(撮影:尾形文繁)

Wi-Fiルーターと情報マスキング音の提供は前回の実証実験でも行われていたが、今回はさらにいくつかのツールの無料貸し出しがあった。たとえば、ノイズキャンセリング機能があるヘッドホンとパーティションが一体化したウェアラブル端末。「もっと周囲を気にせず仕事に集中したい」という意見を受けてのことだ。「装着することで心理的なパーソナル空間を生み出すことができる」と、JR東日本事業創造本部の中村元副課長が説明する。

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