インタビューだけで終わる人もいれば、空港の空いているスペースで芸(空手、歌、ダンス、モデルウォーキングなど)を披露してもらうこともあります。そして、日本で面白そうなことをやってくれそうな人には、その場で交渉して「密着」することになります。
この「密着ドキュメンタリー」部分が、番組の名物となっています。
前出のフリーメイソン潜入ドキュメントは、空港でインタビューしたフィリピン人の会社経営者が、たまたま「フリーメイソンの行事に参加する」と言うので、「ついていったら撮影できた」という代物です。
この密着ドキュメントからは、多くのスターが登場しました。特に人気が高いのは、予定を決めずに日本国内を旅する「ノープラン」の旅人たち。
自転車旅のマーティン(ドイツ)、徒歩旅のルーク(イギリス)、ニセコ旅のオイスティンとアーランド(ノルウェー)、そして最近では、指差し旅のアレクサンダーとジョナサン(デンマーク)。ネット上でも大人気となりました。
番組のヒット企画も「ノープラン」ですが、この番組のヒットの理由も「ノープラン」なところです。日本のテレビ番組は、特に確固たる戦略は立てずに制作されるものがほとんどですが、「YOU」に限って言えば「ノープラン」を極めたことが、逆に戦略となって功を奏したといえそうです。
ボビーのナレーションのすごい威力
「YOU は何しに日本へ?」は、テレビ界にイノベーションを起こしている番組だと前述しましたが、ここでは、テレビ界の常識を破壊している象徴として、筆者が気づいた点を4つ紹介したいと思います。
ひとつ目のナレーションですが、これは筆者がいちばん驚いたことです。なぜなら、「ナレーターは美しい日本語を話さなくてはならない」というテレビ界の常識をぶち壊してくれたからです。普通のスピードで話すと何を言っているのかわからなくなるからか(?)、ナレーションはかなりゆっくりめ。しかも通常の番組に比べると、ナレーションの尺(時間)は、短めです。最初は、「なぜボビー?」と思いましたが、耳で聞いただけで、「外国人の番組だ!」とわかる効果は絶大です。
2つ目の「設定」がないのは、「進め!電波少年」(日本テレビ系)や「サバイバー」(CBS)、「シンプル・ライフ」(米FOX)などアメリカのリアリティ番組との大きな違いです。通常、こうした密着ものは、制作側がある設定を用意します。「この島で暮らす」「ここで貧乏な暮らしを体験してみる」「マンデラ大統領に会いにいく」……。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら