アマゾンを破壊する「ショッピファイ」の超威力 5年後の世界を変える10兆円ベンチャー

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オンラインでは当たり前となったこのような小売りビジネスの流れを、ベータはオフラインに持ち込みました。

店頭でお客からはお金をとらない?

一見するとベータは、おしゃれなデバイスを置いている、アップルストアのような外観です。ユニークなのは、置かれているデバイスをその場で販売することがメインではないことです。自動車ディーラーがショールームに変わっていったのと似ています。ベータのお店も、まさにショールームだからです。

置かれているのは、社名からもわかるように大規模店舗に置かれているような完成されたデバイスばかりではありません。エッジが立っていたり、大化けして売れそうな、話題となるような商品を意図的にセレクトし置いています。そしてその手のデバイスを好むユーザーに見てもらい、触ってもらい、感想を述べてもらい、反応を開発企業にフィードバックします。もちろん新製品が完成した際の予約も受け付けます。

『2025年を制覇する破壊的企業』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

企業としては、将来的な顧客になるとの広告効果もありますし、よりよい製品にブラッシュアップされる場でもありますから、ベータにお金を払い、製品を置いてもらう。そのようなビジネスモデルです。

店内にはカメラやセンサーも備わっていて、何名の客が実際に関心を持ったのか。そのうち手に取ったのは何名か。このような統計から、グーグル広告のような広告課金ビジネスも行っています。サンフランシスコ発で、アメリカではすでに多くの店舗を出店していましたが、いよいよ2020年の8月に日本にも上陸。有楽町駅前やマルイビルに出店しています。

ショッピファイやベータの動きを知り、ぜひ今後のビジネスのヒントにしていただけたらと思います。

山本 康正 ベンチャー投資家、京都大学経営管理大学院客員教授

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やまもと やすまさ / Yasumasa Yamamoto

東京大学で修士号取得後、NYの金融機関に就職。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得し、グーグルに入社。フィンテックやAI(人工知能)などで日本企業のデジタル活用を推進し、テクノロジーの知見を身につける。日米のリーダー間にネットワークを構築するプログラム「US-Japan Leadership Program」諮問機関委員。京都大学経営管理大学院客員教授。日本経済新聞電子版でコラムを連載。著書に、『シリコンバレーのVCは何を見ているのか』(東洋経済新報社)、『世界最高峰の研究者たちが予測する未来』(SBクリエイティブ)、『アフターChatGPT』(PHP研究所)、『テックジャイアントと地政学』(日本経済新聞出版)など。

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