科学が出した「友だちは数か質か」論争の正解 なぜ不幸な友人は「周りにも不幸」を招くのか?

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一方で、友だちは「数」ではなく「質」を重視するという人もいるでしょう。京都大学の内田らは、友だち関係の数と質が幸福感とどう関係するかを、日本人大学生を対象に調査しました。

調査では、学生たちの生活の中で接触する人を、「家族」のような身近な人、「大学の友人」、そして「バイト先などで交流がある人」などの一般的な人間関係に分け、幸福感や身体の健康との関連を調べました。

結果、家族・親戚や大学の仲間など身近な人間関係においては、付き合いの数と質と幸福度の間にはさほど関連はありませんでした。ただ、身近な人間関係においては付き合いが多いほどストレスが少ない一方で、アルバイト先などでの一般的な人間関係は、多くなるとストレスが増えることが観察されました。これはアルバイトのような付き合いを選べない環境下では、どうしても不満がたまっていきやすいことを示唆しています。

さらに、各人に「人間関係を広く求めるか?」「狭くても心地よい関係に留まろうとするか?」と、どちらの傾向が強いかによって、数と質の評価が変わるかということついても調べました。

その結果、人間関係を広く求めるタイプの人は、数が幸福感と関係してくる一方で、狭くても心地よい関係に留まろうとする人は、質が人生の幸福度と関係してくることがわかりました。後者の傾向がある人は、無理をしてまで人間関係を広げることに幸せを見出していないというわけです。

このように、数と質、どちらがより幸せかはその人がもともと持ち合わせている人付き合いの傾向にもよるので一概に言えないでしょう。ですが、どちらにしても自分が幸せを感じたり、心が落ち着けたりできる交友関係を持つことは、不安やストレスを緩和してくれる一助となるということは忘れないでください。

「幸せな友人」が自分も幸せにしてくれる

また、どのようなタイプの友人と一緒にいるかということも大切です。愛知医科大学の松永らは、「幸せな友人の存在が幸福を著しく高める」という興味深い研究結果を報告しています。幸せそうにしている人とともに時間を過ごすと、幸せをおすそ分けできるというわけです。

この調査では、被験者たちに、人生に起こりそうな出来事をいくつかあげて、それを経験したと想像してもらい、そのときに感じる幸福度を評価するように求めました。

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