バイデン「反日で親中・親韓」はどこまで本当か

「民主党は日本に厳しい」と言われるが…

中国との緊密な連携への期待は、中国が東シナ海および南シナ海で軍事力を誇示する動き強める中、薄れつつあった。一方で、北朝鮮はその年2月に、数多くのミサイル発射実験とともに、3度目の核実験を行っていた。

 

こうした中でアメリカは、日本と韓国が安全保障のため緊密な連携を持ち、中国に対抗しうる3国間の協力を望んでいた。だが、中国政府との関係改善を熱望する保守的な朴槿恵氏が大統領に就任したことで、より中国と接近するのではという「懸念」が高まっていた。

日本の歴史認識に懸念を抱いていた韓国

一方、朴前大統領は安倍晋三前首相に対しては完全に心を開いていなかった。というのも、2012年12月に首相になってから安倍前首相は、以前の日本政府の戦時の歴史問題に関しての声明、特に、1995年に発表された戦争に対する談話、従軍慰安婦に対する河野談話と村山首相の声明を後退させる態度を見せたからである。2013年の秋までに、日韓関係はほとんど冷え切っていた。

2013年11月に、中国が、領海の空域を「東シナ海防空識別区」とする設定(日本、韓国、台湾が行政管理する領土を含む)を発表した。 中国の挑発的な動きは、バイデン氏が12月2日に東京に到着した際の最重要課題となっており、「方向転換」とTPPはさらに急を要するものとなっていた。

「北東アジアは、アメリカにとって最も重要な2つの民主主義国が協力して共通の脅威に立ち向かえば最強になる。そして、アメリカ、日本、韓国の3国間で共通の利害、価値観を前進させれば最強だ」と、バイデン氏は訪問に先駆けて朝日新聞に語っている。

バイデン氏は日本を訪問した際、水面下で安倍前首相に対して、朴大統領に手を差し伸べ、日韓首脳会談を開催する必要があると圧力をかけた。安倍前首相との会談を終えたバイデン氏は、首脳会談が開かれると確信を得ていたという。アジア地域に駐留していた元国務省高官によると、バイデン氏の顧問の反対を受けながらも、バイデン氏はこれを推し進めた。

「われわれは、日韓関係の改善を望んではいたが、バイデン氏が自らこれにかかわることには慎重だった」と、この高官は振り返る。アメリカ側は安倍前首相がTPPに前向きであるなど同盟関係に積極的であることに満足していたが、「安倍首相の歴史認識については評価しない向きが強かった」。それでも、この問題には介入しないというのがアメリカでは不文律だったが、バイデン氏は「これを変えられるという自信を持っていた」。

バイデン氏は次に中国に向かい、習近平国家主席やほかの中国首脳陣と5時間にわたって会談し、中国が、北朝鮮政府が交渉の席に戻るための手助けするよう説得できることを期待しながら、発表された東シナ海防空識別区の棚上げと日本と韓国との連携を強化するよう迫った。

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