バイデン「反日で親中・親韓」はどこまで本当か 「民主党は日本に厳しい」と言われるが…
最後の訪問先は韓国で、ここでのバイデン氏と朴大統領の対談は、いささか難しいものとなった。ほとんどの時間は防衛費の負担増について費やされ、それから安倍前首相は朴前大統領に会う準備があると話し、首脳会談に参加するよう圧力をかけた。
その後、私とスタンフォード大学の同僚が朴前大統領と面会したとき、同大統領は明らかにバイデン氏からの圧力に動揺していた。韓国政府は、アメリカが日本の意図の解釈を誤っていると、はっきりと感じていたのだ。朴前大統領によると、彼女自身は日本と協力関係を強めるつもりで大統領職に就き、日本と連携する準備もできていたが、安倍前首相や麻生太郎前副首相は、歴史問題に対する以前の日本の立場を無視したり、変更したりしようとしていた。
「会談の機会を閉ざすつもりもないし、対話は重要だと思う」と朴前大統領は語っている。「首脳会談は成功しなければいけないし、そのためには日本はこの問題を持ち出すべきではない」。それどころか、首脳会談で真逆の歴史認識を示したり、靖国神社を参拝する可能性もあると懸念していた。
「靖国参拝」は青天の霹靂
朴前大統領はまた、従軍慰安婦問題にもふれ、「彼女たちの先行きももうそんなに長くないが、これは彼女たちだけの問題ではなく、戦時中の女性の人権にかかわる問題だ。日本がこれを否定するのは受け入れられない」と語っていた。
朴前大統領は、首脳会談を行うには、村山元首相と河野談話の正当性を確認し、挑発的な行動を控えるという日本政府の確約が必要であると主張した。それをバイデン氏にもかなりはっきり伝えたという。
対アジア外交の専門家で、このときバイデン氏に随行したエバン・メデイロス氏は、バイデン氏は「日本と韓国の仲介をしようとはしなかった」と主張する。「バイデン氏は、朴前大統領と安倍前首相双方に歴史問題について持ち出し、双方柔軟で合理的であるよう促しはしたが」。
数日後、バイデン氏は安倍前首相と長時間電話で会話し、自身の外遊と朴前大統領との会談について概要を伝えた。バイデン氏は、朴前大統領に会うよう要請。安倍前首相は、電話では確約を避けたが、アメリカの政府高官やバイデン氏自身も、安倍前首相が靖国神社に参拝したり、それ以外にもサミット開催に向けた努力を無にするようなことはしないだろうという、明確な印象を持ったという。
しかしバイデンの努力は水泡に帰す。アメリカ側が驚いたことに、安倍前首相は12月26日に靖国神社に参拝したのだ。「バイデン氏が自ら介入したのに、うまくいかなかった」と元国務省高官は振り返る。
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