バイデン「反日で親中・親韓」はどこまで本当か 「民主党は日本に厳しい」と言われるが…
その知らせがアメリカ政府に届いたのはクリスマスイブのことで、ホワイトハウスはバイデン氏の了承を得たうえで、大使館が異例の声明を出すのを許可した。それは安倍前首相に対する「失望」を表明したものだった。「アメリカ政府全体が安倍首相に怒りを感じていたと思う。日本側はショックを受け、本当に心配していた。それがわれわれの狙いだった」。
そのときのことがあっても、バイデン氏は恨みを引きずりはしなかったという。それどころか、今度はオバマ前大統領も巻き込んで3国間の協力を強化するというゴールに向かって動いた。
2014年3月、ハーグでの核セキュリティサミットの本会議外で、オバマ前大統領は朴前大統領と安倍前首相を3者会談に呼び寄せ、北朝鮮問題を持ち出して結束させようとした。4月にはオバマ大統領は日本と韓国の双方を訪問し、歴史問題を解決させようとした。東京での声明では直接の言及は注意深く避けたが、韓国の過去の苦悩についてははっきり認めた。
翌年、安倍首相と朴前大統領はそれぞれアメリカを訪問した。安倍首相は終戦70周年の声明からトーンダウンして、アメリカ側の懸念に対応しようとした。朴前大統領が夏にアメリカを訪れた際、バイデン氏は副大統領官邸で長時間にわたって昼食を摂り、アイルランド問題と歴史の重要性について語った。
「バイデン氏は歴史問題を明確に理解している」と語ったのは、これらの会談に直接関わった元オバマ政権の高官だ。「バイデン氏の稀有なところは、歴史問題を政策の観点から理解しつつ、政治家としても把握していることだ。これは政治問題であり、その輪郭を理解できるのはリーダー格の者だけだ。圧力をかけるということではない。アメリカにとって重要問題だと理解しているということだ」。
元高官は、会談は有効だったと信じている。朴前大統領は会談後に談話を発表し、安倍前首相と会う用意があると言った。11月の中国を交えた3カ国首脳会議の本会議外で、両首脳はようやく会談。これにより、長期間ストップしていた慰安婦問題日韓合意の話し合いが再開し、12月には合意が発表されたわけだ。
「個人間の外交が重要になる」
今日の日韓関係も似たような状況にある。バイデン政権は、中国への新たな対応を練り上げなくてはならないが、まず優先すべきは同盟の強化だ。そしてここでも、日本と韓国の緊張関係が妨げになる。
では、バイデン氏は自ら関係修復に乗り出すのか。バイデン氏の顧問のほとんどは、彼は誰かに授権するだろうと考えている。おそらくは国務長官に起用されるトニー・ブリンケン氏だろう。オバマ政権下では、ブリンケン氏が日韓を含めた3カ国の副首相級の対話をお膳立てしている。
個人間の外交が重要になるだろうとバイデン氏の顧問たちは言う。菅首相と定期的に会っていた元アメリカ官僚によれば、「菅首相の性格はバイデン氏と付き合うには絶好だ。個人同士ではユーモアのセンスがあり、時には多弁で、鋭く、豪腕だ。バイデン氏といい関係を築く可能性は高い」。
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